2013 Fiscal Year Research-status Report
中世漢語声点資料による画像付きデータベース構築の研究
Project/Area Number |
24720213
|
Research Institution | 東北文教大学短期大学部 |
Principal Investigator |
加藤 大鶴 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (20318728)
|
Keywords | 字音声調 / 漢語アクセント / 日本語音韻史 / データベース |
Research Abstract |
今年度は「中世漢語声点資料による画像付きデータベース」(http://gassan.t-bunkyo.ac.jp/kango-shouten/)の構築と試験的公開を実施した。本データベースでは、声点の認定と韻書での所属声調、日本語での拍数情報など字音声調研究に必要な情報をテキストで検索結果に示すとともに、漢字に差された画像を並べて閲覧させることを目指している。また連音上の声調変化や、文脈上の意義や用法を知るために、該当箇所を切り出した検索結果だけでなく、それを文脈に戻す仕掛け(レイヤー化された透明テキスト付き画像とのリンク)を組み込んでいる。含まれる資料は、『尾張国郡司百姓等解文』(早大本、東大本、真福寺本)、『宝物集』(久遠寺本、光長本)、『新猿楽記』(古抄本、康永本、弘安本)である。現在は、試験的公開によって利用者からバグや改善点などについてフィードバックを得、最終年度における完成形をめざしつつ段階にある。また次年度は、画像利用の許諾が得られていない文献について交渉を続ける予定である。 またこのデータベースを利用し、『新猿楽記』に現れる声点の分析についての研究発表も行っている(「『新猿楽記』の二字漢語における去声字のふるまい―漢音読み語彙と呉音読み語彙の異なり―」,2013年9月7日,拡大アクセント史資料研究会)。主として去声字を含む2字漢語が中低形を回避する時、それが呉音系字音/漢音系字音のどちらに基づくかによって異なるふるまいをすること、およびその要因について論じた。次年度の研究では、画像検索を活かし、声点認定そのものの基礎的問題を扱う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通り進行しているが、データベースに含まれる画像については利用許諾が得られていないものがある。
|
Strategy for Future Research Activity |
「中世漢語声点資料による画像付きデータベース」について学会等で報告し、得られたフィードバックをもとにデータベースの完成を目指す。また移点資料における軽点の取り扱いと認定について、データベースを用いた研究報告を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は専門的知識の供与を必要としなかったこと、および資料複写を予定していたほど必要としなかったことによる。 データベースの修正、データベースに基づいた研究の実施と報告、および結果報告の作成等を行う。
|