2013 Fiscal Year Research-status Report
日英語結果指向構文にみる情意的意味発生メカニズムの分析とその慣習化プロセスの特定
Project/Area Number |
24720216
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田村 敏広 静岡大学, 情報学研究科, 講師 (90547001)
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Keywords | 情意的意味 / 「てしまう」構文 / Get受動文 / 結果焦点による事態の不可変性 |
Research Abstract |
本研究は、英語Get受動文と日本語の「てしまう」形式に着目し、それらによって表出される情意的意味の出自と言語的動機付けを明らかにしようとする試みである。一見、無関係にみえる日英語の両形式が同じような情意的意味を発生しうるのは決して偶然ではなく、それを発生させる基盤となる意味を共有しているからではないかという仮説をもとに研究を進めている。 平成24年度は、良好分について、共時的観点から情意的意味の発生メカニズムを明らかにし、その妥当性を検討した。具体的には、Get受動文の「てしまう」構文の情意的意味が発生するデータの収集を行い、データベースを作成した。また、そのデータベースをもとに、両形式の情意的意味を分類し、共時的観点から分析を行った。これまでGet受動文と「てしまう」構文の話者の感情表出である情意的意味を認められていたものの、その出自について言語学的な動機付けは明らかにされていなかった。しかし、本研究の計画に基づき、両構文の意味機能を分析したところ、類似したアスペクト的性質をもつ形式であることは明らかになった。 平成25年度は、「情意的意味の慣習化プロセスの妥当性の証明(通時的研究)」を行い、特に「てしまう」構文の慣習化について歴史的な流れを調査し、妥当な慣習化プロセスを提案した。また、Get受動文の慣習化プロセスの特定と本研究の最終段階である「結果指向性と情意的意味の関連性に関する言語一般性の検証」を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち、フェイズ2である「情意的意味の慣習化プロセスの妥当性の証明」が、通時的分析を取り入れ、情意的意味の発生時期を特定し、使用(トークン)頻度の変遷を探るという作業に当初予定していたよりも時間を要してしまった。それにより、フェイズ3の「結果指向性と情意的意味の関連性に関する言語一般性の検証」の開始がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に設定した3つのフェイズのうち、とくにGet受動文に限定した「情意的意味の慣習化プロセスの妥当性の証明(通時的分析)」(フェイズ2)と「結果指向性と情意的意味の関連性に関する言語一般化の検証」(フェイズ3)を行う。今年度前半にフェイズ2を完遂し、フェイズ3では英語のHot News Perfectなど結果指向性をもつ構文を調査し、Get受動文や「てしまう」構文のような情意的意味の発生が、構文の結果指向性と言語一般性をもつのかを検証する。 この研究で得られた知見を国外もしくは国内の学会で積極的に発表し、論文にまとめ、国内誌へと投稿する予定である。
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