2014 Fiscal Year Research-status Report
バイリンガル教育の要因―外国人児童の家庭における取りくみを中心に
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24720234
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
呉 禧受 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 研究員 (70594406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイリンガル / 言語選択 / コードスイッチング / 韓国人児童 / 韓国人親 / ビリーフ(Beliefs) / 家庭内言語保持 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国人児童を持つ家庭は、児童のアイデンティティを成す言葉(家庭内言語)の習得の場として重要な役割を担う。しかし、実際のバイリンガル教育研究の結果は、あまり家庭に浸透してないことが多々ある。本研究は、以上のような現状を受け、以下の研究目的に沿って行っている。1.日本における韓国人親のバイリンガル教育に対するビリーフ(Beliefs)とはいかなるものか。2.韓国人同時バイリンガル児童はどのような目的で韓国語と日本語を選択し、使用しているか。 これまでの研究成果としては、2013年にはニューヨーク在住の韓国人母親と日本人母親を対象に、バイリンガル教育に対するビリーフ調査を行い、2014年には日本における韓国人母親のビリーフ調査を行った。また、2012年から韓国人同時バイリンガルの男児と女児の言語データを定期的に収集し、順次分析してきたが、2014年からは、新たにもう一人の韓国人同時バイリンガルの女児を確保し調査を行っている。これらの研究成果は5回の国際学会での研究発表と、2回の論文投稿を通して公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究調査および分析が進むにつれ、当初は計画しなかった局面の研究の必要性が浮上し、それを明らかにするための調査、分析をも行っている。そのようなことから研究結果がより多面的で豊かになったと思われる。バイリンガル児童の言語使用を調査するためには情報提供者(インフォーマント)の確保が非常に重要であるが、去年度は7歳の韓国人バイリンガル女児の母親から言語使用に関する情報提供の助けをいただくことができ、研究がさらに進むようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は去年に引き続き、3人の韓国人バイリンガル児童の言語データの収集を続けるとともに、日本における韓国人親のビリーフ調査を続ける。 8月には中国の延辺大学で行われる国際学会での研究発表を、10月には東京立教大学で行われる研究会での発表を控えている。さらに、研究結果の出版に向けて執筆を続ける予定である。
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Causes of Carryover |
平成25年度のアメリカにおける研究留学によって、同年日本国内で実施する予定であった音声資料の収集とインタビューができなかったことから、データの収集と整理を26年度と27年度に行うことで謝礼と人件費が発生することとなった。さらに、25年度には日本国内で行う調査とは別にアメリカでも調査を行っており、調査結果の文字化、分析を27年度に行うこととなり、それに伴い人件費が発生することとなる。 なお、調査の分析結果を学会で発表するため、旅費の支出を必要とする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在同時バイリンガルの自然会話は3人のバイリンガル児童に対し、1回30分程度の自然会話を月1回の頻度で収集しているが、次年度も引き続き収集を行う予定である。そのため次年度も3人のバイリンガル児童の母親にデータ提供のお礼として謝礼を渡す予定である。インタビューは10-15人の協力者に行う予定であり、調査協力へのお礼として謝金を渡す予定である。また、音声資料は膨大であるため一人で文字化にするのは難しく、日本語と韓国語が理解できる人を雇って文字入力を手伝ってもらい、人件費を支払う。 さらに、8月に中国の延辺大学と10月に東京の立教大学における学会で調査結果を発表するため、旅費を支出する予定である。
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Research Products
(2 results)