2012 Fiscal Year Research-status Report
中国語話者のための日本語教育文法を構築するための基礎研究
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24720239
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
中俣 尚己 京都教育大学, 教育学部, 講師 (00598518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 中国 / 第二言語習得 / 日本語教育文法 / 反応時間 / ディクトグロス / 数量詞 / 動詞の自他 / 産出 |
Research Abstract |
平成24年度は前半に並列表現の習得に関し、「AもP」、「AもP,BもP」、「AもBもP」という文型の違いが難易度に影響を与えていること、またその他並列構文についてもJFL環境ではJSL環境とは異なる調査結果が現れ、「AとかB」よりも「A、B」のような並列マーカーの回避が見られることを発表した。この発表に興味を持った研究者から調査内容の追試的な研究もなされ、多少の結果の違いがあるものの、中国語話者の並列表現の習得上の問題点が明らかになったといえる。この内容は雑誌『日本語教育』に投稿中である。これが採択されれば、日本語学的な発想だけでは、中国語話者のための文法は作れないという問題意識がさらに広く共有されることだろう。 また、夏からは数量詞の研究にテーマを絞り、陝西師範大学、西安工業大学の協力を得て、数量詞構文の習得研究を行った。具体的には11月に調査紙を送り、翻訳課題と作文課題を、3月には自身が西安に行き、反応時間測定課題とディクトグロス課題を実施した。特に、反応時間測定課題においては、日本語では、「机の上に本が3冊ある」と「机の上に3冊の本がある」では前者のほうが好まれるが、中国語には「机の上に3冊の本がある」の語順しかないため、こちらの反応時間が短いと考えられた。しかし、結果は異なり、「机の上本が3冊ある」の語順のほうが有意に短いということがわかった。その一方で、まだ詳細な分析はおこなっていないが、翻訳課題・作文課題においてはやはり中国語話者は「3冊の本」語順を多用している。 この食い違いが意味することは習得研究において示唆的である。理解のための文法と産出のための文法は異なるということを意味するからである。そして、今後の習得研究はより産出の方に注力すべきであるといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は予定していた通り予備調査を行い、2度の本調査を行うことができた。また、単なる文法性判断にとどまらずノートパソコンを中国に持ち込んで反応時間などを測定するという、新しい手法でのJFL環境での習得研究という側面も本研究の特徴であるが、これも実施することができた。さらに、平成24年8月の日本語教育国際大会での情報交流を元に、ディクトグロスを用いた習得研究の存在を知り、それを試すことができた。数量詞の研究に関してははかばかしい結果がでなかったが、問題点を知ることができたため、次のテーマでの成果に期待できる。 本テーマに関する発表自体はまだ1回のみであるが、これは調査の実施から執筆、そして採択までにかかる時間的制約を考えればやむを得ないものである。「も」の習得に関する論文は現在投稿中である。(平成24年8月に投稿し、再投稿扱いとなった。)数量詞の習得に関しては2つの学会で発表(1つは応募中)後に、学会誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、平成24年度に実施した数量詞の研究について、反応時間測定課題の結果について発表を翻訳課題・作文課題の分析を進め、数量詞の産出について12月の第2言語習得研究会において発表する予定である。その後、論文としてまとめ学会誌に投稿する。 また、本年度は動詞の自他、特に、「トンネルが開通された」のような漢語サ変動詞にける受け身形の誤用に関して、非対格自動詞・非能格自動詞・他動詞において違いがみられあるのかという点を、ディクトグロス法を使って調査する。反応時間の測定も行う。また、同時に他の項目について質問紙調査も行いたい。 調査は中国の長春で9月に行う予定で、すでに調査の実施に関しては快諾を受けている。この調査結果は平成26年3月に台湾で行われる予定の国際学会において発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として9月に行う長春での調査の旅費として使用する。また、調査結果を名古屋、広島、台湾の各学会で発表する予定でそれらについての旅費にも使用する。 調査したデータは学生アルバイトを雇って処理を行う。その謝金としても使用する。その他、第二言語習得研究の最新の知見を得る必要があるため、情報集のための学会出張や書籍の購入に使用する。
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Research Products
(10 results)