2014 Fiscal Year Annual Research Report
異文化環境で教えるネイティブ語学教師の職業倫理に関する調査研究
Project/Area Number |
24720251
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
ANTIER Emmanuel 金沢大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (40550190)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ネイティブ語学教師 / 職業倫理 / フランス語教育 / 異文化接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、25年度と24年度にフランスと日本において、ネイティブ外国語教師を対象として収録したインタビューデータの分析を継続して行った。インタビュー調査結果からは、異文化環境で教える言語文化教師が、どのような価値観や規範、職業倫理に基づいて言語文化教育活動を行っているのかということを知る手がかりが得られ、非常に有意義であった。 具体的には、筆者のこれまでの研究において提案してきた、「真実性」「他者性」「妥協」「信頼」「知識」の5つの柱に基づく職業倫理モデルを分析の枠組みとした。今回の分析結果から、特に明らかになったことは、教師による学習者母語の利用の有用性と学習者の教育文化を知ることの重要性である。日本語使用という選択は、とりわけ、学習者に安心感を与えるという倫理的な必要性と、二つの言語文化が接触する際の摩擦を避けるという必要性に応える一方で、ネイティブ教師として目標言語を使うべきであるという教授法観と一般的に求められる教師像からは矛盾するものである。また、学習者の教育文化を知ることは、学習者の学習態度の解釈を可能し、教師が学習者の教育文化に適応できるということにつながる。これは、職業倫理モデルの枠組みでは、「他者性」と「知識」の指針に関わるものである。今後、異文化環境で教える言語文化教師が倫理について考える必要があるということがもっと認知される必要があるだろう。本研究の成果は、異文化環境で教える教師の行動の指標を示すための基礎的な資料を提供したという点で意義深いものである。
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