2014 Fiscal Year Annual Research Report
英語学習者と日本語学習者におけるコロケーションの情報処理過程に関する比較研究
Project/Area Number |
24720252
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松野 和子 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (80615790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コロケーション / 言語情報処理過程 / コーパス / 反応時間 / プライミング / 言語転移 / 第二言語習得 / multi-word units |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、日本語学習者と日本語母語話者を対象に、コロケーションの情報処理過程を明らかにする2つの反応時間実験を行った。実験後、本研究で構築されたコロケーションの情報処理過程モデルを基盤とし、これまで得られた実験結果(英語学習者と英語母語話者を対象とした結果)と平成26年度に得られた結果を合わせ、コロケーションの情報処理過程を分析した。その際、親密度や学習経験等を調査するアンケート結果とコロケーションに内在する表現の属性に基づき、同様の処理過程を持つコロケーションに共通する特徴を考察することを試みた。 分析の結果、母語の違いに依らず同様の傾向がみられ、母語話者では概して二重処理によってコロケーションを処理するが、学習者は異なる処理を並行して同時に行うことが困難であることが考察された。特に、母語と異なる統語形式となるコロケーションを処理する場合、処理が困難であることが示唆された。学習者を習熟度別に分析すると、中級学習者では分解処理が行われ、1単語ずつの意味を組み合わせてコロケーションの意味を理解することが多かった。一方、上級学習者では、全体処理が行われるようになり、表現パターンを用いて意味を理解するコロケーションが多くなることが分かった。これは、中級学習者では一塊として前もって記憶しておいた表現パターンが少なく、上級学習者では一塊として前もって記憶している表現パターンの量が多くなるためであると考察された。表現パターンの記憶形成は、言語表現に内在する属性というよりは、経験によって得られた暗示的知識や明示的学習が影響していると考えられた。 平成26年度9月には、イギリスのUniversity of Yorkで開催されたthe European Second Language Associationの第24回大会で口頭発表を行い、研究成果の一部を国際的に公開した。
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Research Products
(3 results)