2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校外国語活動における児童の動機づけと情意要因に関する縦断調査
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24720256
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 理恵子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 講師 (90624289)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 動機づけ / 聴覚能力 / 心理的要因 / 小学校外国語活動 / コミュニケーションへの積極性 |
Research Abstract |
本研究では、小学校外国語活動における動機づけ、情意要因、言語運用能力(リスニング)に関する研究を、2年間の縦断的調査方法を用いて行っていくことを目的とする。小学校外国語活動の場面においては、児童の情意面に焦点が置かれているが、縦断的調査方法を用いた調査は皆無に等しい。従って、本研究では、縦断的調査を介して児童の動機や情意要因の変化に関する全体傾向と個人差傾向を精緻な手法を解明している。 本研究の目的は次の通りである。①小学校外国語活動において縦断調査を行うことで、児童の内発的動機づけ(関係性、有能性、自律性)、異文化への関心、コミュニケーションへの積極性、CanDo、理想自己、言語運用能力はどのように変化するのか、全体傾向と個人差の傾向の検討を行う、②動機づけや情意要因の言語運用能力(リスニング)に関する要因間の検討を行う、③ 縦断的調査において、児童の傾向を把握したうえで、カリキュラムや指導法の見直しを行い、児童にどのような変化があるのかを検討する。 研究目的①・②を遂行するために、大阪府豊能町立東ときわ台小学校において、1年間の継時データ(質問紙・リスニングテスト・観察記録・ビデオ記録・面談)を入手した。2012年7月・2013年2月、本学児童5年生・6年生を対象にリスニングテストと質問紙(内発的動機づけ(関係性、有能性、自律性)、異文化への関心、コミュニケーションへの積極性、CanDo、理想自己)を実施した。結果として、5年生・6年生ともに、リスニング能力は高まり、統計的な有意差を認めている。その他の心理的要因に関しても6年生においては、全項目に関して7月時と比較して、2月時点において高まりを認めている。特に、CanDoと有能性については、顕著な差異を認め、統計的に有意であることが明らかになった。相関関係においても、リスニングとCanDoに強い相関を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、約50%が達成されている。既に1年間の継時データ(質問紙・リスニングテスト・観察記録・ビデオ記録・面談)を入手し、質問紙調査・リスニングテスト2回(2013年7月、2014年2月)を実施する予定のみとなっている。既に手元にあるデータについては、量的調査においては、リスニングテストや質問紙調査に関する統計処理は終了し、質的データに関しても文字起こしやコーディングのプロセスを行っている。1年目の調査を通して達成した結果は、1年間を通した児童の変化の全体傾向と特徴である。豊能町立教育委員会・豊能町立公立小学校が保有する既存のカリキュラムを用いて質問紙調査を行い、児童の外国語学習時に関する実態を捉えたところ、東ときわ台小学校においては、1年間を通して肯定的な変化の傾向を認めた。当該小学校においては、研究目的③に示すようなプロジェクト型カリキュラムを既に実施しており、”Hi friends”を適宜指導計画・指導案に取入れ、学期末にプロジェクトを取り入れたカリキュラム構造となっている。豊能町立教育委員会とALTによって構築された本カリキュラム(プロジェクト型授業の介入)は、既に数年間実施されており、小学校・学年・クラス・個々の児童の傾向を捉えたうえで、カリキュラム・指導案・プロジェクトに変化が加えられているために、量的研究結果に肯定的な変化を認めたと考えらえる。2012年度~2013年度にかけるデータ結果については、既に、豊能町立東ときわ台小学校にて、教員研修の一環として結果報告をしており、学術論文の執筆を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年7月、2014年2月にリスニングテストと質問紙調査を実施する予定である。引き続き、観察記録を入手、面接も行っていく予定である。当初の研究目的では、「縦断的調査において、児童の傾向を把握したうえで、カリキュラムや指導法の見直しを行い、児童にどのような変化があるのか」(研究目的③)を予定していたが、既に、当該教育委員会においてはプロジェクト型カリキュラムの実施が行われている。調査対象校である豊能町立東ときわ台小学校においてもまた、児童に適切であり、且つ、優れたカリキュラム構造・指導案が導入されている。2年時以降においても、現状を維持し継続した調査を実施し、更に、全体傾向と個人差傾向を捉え「何が児童にとって肯定的な結果となっている要因なのか、どのようにすれば、児童のリスニング力や心的要因を維持し(あるいは肯定的な変化にもたらす)、一般化することができるのか」を探っていく。今後、本調査結果である1年間の縦断的調査結果については、中間的報告として国内外の学会発表・学術論文の執筆を通して、公表していく予定である。公的な場として、教員の免許講習や公開講座(教員のためのリフレッシュ講座:大阪大学大学院言語文化研究科主催)を通して、結果を公表していく。大阪府豊能町立委員会・豊能町立東ときわ台小学校においては、今後も教員研修や報告書を作成し、結果報告を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用は主に次の通りである。①旅費:国際学会(イギリス応用言語学会、スコットランドにて-予定-)・国内学会(大学英語教育学会:京都大学にて、小学校英語教育学会、沖縄大学にて)・シンポジウム(外国語教育メディア学会:8月)・公開講座(教員のためのリフレッシュ講座:大阪大学主催)・教員免許講習(大阪大学にて)・教員研修(大阪府立豊能町立東ときわ台小学校)が既に決まっているため、研究費の一部を旅費に利用する。②英文校正費:論文執筆を日本語ならびに英語で行う。英語で行う場合の英文校正費用に充てる。③製本代:報告書を作成するための製本代・通信費用に充てる。 ④書籍購入:外国語教育関係書籍を購入するための費用に充てる。⑤文房具類:研究に必要な文房具類を購入する。
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Research Products
(9 results)