Research Abstract |
本研究は,音声呈示された英単語の反復練習が, 学習者の語強勢(弱母音と強母音の長さの割合)と弱母音の音質に関する音声知識データベース(音韻表象)の質的変化, 並びに,新たな音声言語情報の内在化に与える影響について検討した. また, どのような条件下で反復させた際に, それらの変化や内在化に影響を与え,語強勢と弱母音の発音が向上するのかを明らかにした. まず,音節間にポーズを挿入した単語の反復が, 語強勢の発音学習に与える影響について, 以下の条件で調査した. a)注目あり(音節間にポーズあり), b)注目なし (音節間にポーズなし), c)未反復. その結果,a)の際に発音が最も向上することが明らかになった. 学習者は無意識に音節単位のプロソディック情報を音韻表象で符号化,保存し,後の言語産出時に,その情報を効果的に利用したと推察される. さらに,音声呈示と共に, 文字呈示された単語を反復させた場合の発音学習効果を, 以下の条件で調査した.a)音声呈示のみ, b)音声と文字の同時呈示, c)7回の音声呈示の後,1回の音声と文字の同時呈示, d)反復なし. その結果, c)において語強勢と弱母音の向上が最も見られた. すなわち,音声を反復させることで正しい音韻表象を符号化, 保存させた後に文字呈示した場合に, 最も効果が現れることがわかった. 以上のように,本研究では,語強勢と弱母音の発音学習をする際には, 音声呈示した単語を単に反復させるだけではなく, 音節間にポーズを入れたり, 音声呈示を繰り返した後に文字呈示をすることで,より一層の効果を得られることが明らかになった.これらの発見を踏まえて, 発音教材作成や発音指導につなげていきたいと考えている.
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