2013 Fiscal Year Research-status Report
「学校認知英文法」構築:現場で使える教材・教授法の開発に向けて
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24720264
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
長 加奈子 北九州市立大学, 基盤教育センターひびきの分室, 准教授 (70369833)
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Keywords | 英語教育 / 応用認知言語学 / 教授法開発 / 認知言語学 |
Research Abstract |
本研究課題は、認知言語学の知見に基づき『学校認知英文法』の開発に向けた基礎研究を行うことを目的としている。特に、前置詞、名詞の可算・不可算の問題、冠詞に焦点を絞り、中学・高等学校の現場で教える英語教員が言語学の専門的な知識を持たずに利用できる教授法および教材の体系的な開発を目指しているものである。 平成25年度は,主に以下の2点を行った。(1)教材の開発と改良:本研究課題で開発した前置詞のワークシートを実際に使用した結果、認知言語学に基づく教授法がうまく作用するものと、あまり作用しないものが存在することが明らかとなった。そこで、個々の項目について詳細に理論的枠組みに基づき分析し、教材の改良を行った。(2)学習者コーパスの分析:平成24年度に行った学習者コーパスの分析を継続して行うとともに、英語母語話者の特徴を明らかにする為に、大規模コーパスである British Natioanl Corpus の分析を行った。平成25年度は情報構造の観点から、構文の使用について検証を行った。その結果、英語母語話者と日本人英語学習者では、談話構造のフローが異なることが見えてきた。 以上の研究結果を、平成25年度は論文1本、シンポジウム1本(コーディネータ兼パネリスト)、学会研究発表3本にまとめ、発表を行った。また、認知言語学の知見を英語教育の現場に応用することに対する関心の高まりを受けて、大学英語教育学会の研究会として、「応用認知言語学研究会」を立ち上げ、他の研究者や中学・高等学校の教員と積極的に意見交換を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、これまで開発した教材について実際に使用しその教育効果を検証するとともに、改良点について理論的枠組みを用いて明確にした上で教材の改良を行った。また開発した教材について、実際に教育に従事する中学・高等学校の英語教員に提供し、その教育効果および現場への応用可能性について意見交換を行った。以上の内容から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたるため、英語の前置詞、可算・不可算名詞、冠詞について本研究課題において開発・改良した教材および教授法をまとめる。同時に、本研究課題において明らかになってきた、日本人英語学習者と英語母語話者の談話構造のフローの違いに関して、教材を作成する予定である。また談話構造をより詳細に分析するため、が独自の学習者コーパスの作成にも着手する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高等学校の検定済み教科書のコーパス化の為の研究補助員への謝金を計上していたが、平成25年度より新しい学習指導要領となり、新指導要領に基づく教科書が1年分しか存在しなかったため、コーパス化の作業を実施することができなかった。その為、平成26年度にコーパス化を行うことに変更した。また成果の公表の為のレンタルサーバーおよびホームページ等の管理委託について、研究者自らが管理することで、費用が当初予定したより安価で済んだことによって繰越金が発生している。 平成26年度は検定済み教科書が2年分そろう為、コーパス化の作業を行う為の研究補助員への謝金として使用する予定である。またレンタルサーバーおよびホームページ等の管理費については、平成25年度に引き続き研究者自らが管理を行うが、管理の為にソフトウェア等の購入が必要であるため、その費用として支出予定である。
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