2016 Fiscal Year Research-status Report
推論生成ユニットの言語間比較と心的表象が語彙記憶に及ぼす影響の解明
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24720270
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中川 知佳子 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (70580869)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文章理解 / 背景知識 / 語彙 / リスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、推論生成ユニットの言語間比較と心的表象が語彙記憶に及ぼす影響の解明を目標としている。本年度は、文脈と語彙理解との関連について、(1)文章読解の際の背景知識の活性化の面から検証すること、(2)リスト提示の場合の背景知識の活性化の面から検証すること、の2点を中心に行った。 協力者は日本人EFL学習者(大学生)であった。(1)の検証においては、母語での読解経験があると考えられる物語の英語版(原文)を与え、読解語に自由筆記再生課題を実施した。その結果、母語での読解経験があり、なおかつ、その背景知識を活性化できたグループと、母語での読解経験の有無を問わず、背景知識を活性化できなかったグループとの間で、筆記再生量に有意差が見られた(活性化群の再生量が有意に多かった)。この結果は、難易度の高い単語が多く含まれていた先行研究ではみられなかった結果であり、背景知識の活性化にはそれを活性化させるための閾値があることが示された。(2)の検証については、リスト提示する英単語について、DRMパラダイムで使用されたリストを日本人に応用できるかを確認した(DRMパラダイムのリストの日本語訳を作成し、それらのリストからどのような単語が母語と英語のそれぞれで産出されるかを検証した)。次年度は、(2)で作成したリストを用い、オンラインでの処理においてfalse memoryが生起されるかを検証する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学習者の語彙記憶と文脈との関連について、これまでに文脈の量を「1文(センテンス)」とした研究調査を実施してきた。本年度は「文章」という単位での検証を行ったこと、また、次年度に向けた「リスト」を作成したことで、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、リスト提示の場合のFalse Memoryの活性化について検証するとともに、これまでの研究成果をまとめ報告する。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇および育児休暇を取得し、そのために終了予定年度を2年間延長している。結果として、復職後は次年度使用額が0より大きい状態が続いている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画で最終年度として計画していた通り、最終的な調査と研究成果の発表・報告に使用する。
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