2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の大学英語教育におけるプログラム評価基準の構築
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24720274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
竹田 真紀子 愛知学院大学, 総合政策学部, 講師 (30521744)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英語教育 / 英語プログラム評価 / 教育の質保証 / 教育改善 / アクレディテーション / 大学認証評価 / 国際情報交換 / イギリス:アメリカ |
Research Abstract |
次の3点について文献調査を行った。1. 日本の大学認証評価機関のうち2つの機関(独立行政法人大学評価・学位授与機構、及び財団法人大学基準協会)2.イギリスの英語プログラム認証評価機関であるBritish Council(1、2は共に評価基準、組織、手順、方法、結果とその公開方法等)3.日本の認証評価制度の特徴、歴史、他国のアクレディテーション制度との違い、問題点 研究の第一段階として、なぜ日本の大学評価が教育の質改善に直接結びついていかないのか?海外の英語プログラム評価との相違は何か?を調査する必要があり、上記1、2は不可欠であった。3は研究開始当初調査を予定してはいなかったが、研究者は日本の評価制度を深く理解することなしでは、他の評価制度との比較をすることは難しいと考えた。調査の結果から主に以下の問題点が明らかになった。 1. 日本は機関を相対として評価する「機関別認証評価」であり、海外の英語プログラム評価のような「専門分野別評価」とは性質を異にする。また大学基準協会のように専門分野別評価分科会による評価を行っていても、学部の専門性によって評価される為、外国語を専門としない学部における英語教育の質をどの程度評価しているかは疑問である。 2. アメリカやBritish Councilのアクレディテーションは、自らの価値を創造するための自主的・自発的活動であり、日本の「強制的な評価」とは意義が違う。日本では、問題点を真摯に自己点検に記載する事が問題になる事もある為、形式的な内容になり改善の為の評価活動にならないことが多い。 今年度の調査で明らかになったのは、大学英語教育改革の実質化を目指すことにおいて一番重要な事は、評価基準の構築に留まらず、その運用が「教員の自発性を引き出す」ものでなければならないと言うことである。そのことが再認識できた事には大変意義があったと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れていることには主に2つの理由がある。一つは研究者が本研究の初年度にあたる平成24年4月に研究機関を移動し、新しい環境に適応するのに時間がかかったことである。また新しい研究機関である愛知学院大学総合政策学部では、平成25年度に向けてカリキュラム改正を控えており、着任初年度である平成24年度は新英語プログラムの企画立案、準備のほぼすべてを一人で担当することになったため、研究に重点を置くことができなかった。 二つ目の理由としては、研究を進めて行く中で、さらなる研究調査の必要性を感じたからである。当初の計画では、研究初年度である平成24年度は、申請書の研究計画に示したように、以下の2点について文献調査を行う予定であった。 1. 日本の認証評価の評価機関である5つの機関の評価基準について文献調査を行い、英語教育の評価を行うという観点から評価基準項目を精査し、問題点を追求する。 2. 英語教育に特化した認証評価機関である海外の評価機関の評価基準を検証し、日本の評価基準と比較することによって、そこから見えてくる日本の英語教育評価の課題をまとめる。 研究者は、調査予定である日本の認証評価の5つの評価機関のうちまず2つの評価機関(独立行政法人大学評価・学位授与機構及び財団法人 大学基準協会)の評価基準について調査を行った。しかしながら、各評価機関が掲げている評価基準、趣旨、組織体制、評価事業のあり方等を精査することだけによって、英語教育の評価を行うと言う観点から認証評価制度の評価基準の問題点を追求することは難しく、不十分であると判断した。そこで研究者は、英語教育を評価すると言う観点からではなく、まず認証評価制度の特徴、成り立ちの歴史、他国のアクレディテーション制度との違い、制度が抱えている問題点について調査する必要性を感じ、文献調査を行った。そのため当初の予定から遅れているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、平成24年度に5つの日本の認証評価機関及び4カ国5つの海外の英語プログラムの評価機関の評価基準の文献調査を行う予定であったが、「現在までの達成度」にも理由を示した通り、研究は遅れている状況である。しかしながら、実地調査を実施できる期間は限られているため、平成25年度は研究計画を以下の通り変更する。 1. すべての文献調査を終える前に、平行して海外の英語プログラム評価に関する実地調査を行う。具体的にはBritish Councilを調査する。 2. この研究課題を応募する際は、4カ国の5つの海外の英語プログラム評価について実地調査を行う予定であったが、助成金額を考慮すると、海外への実地調査は2カ国に絞る必要がある。イギリスについては調査予定であるが、もう1カ国は現在検討中である。またもう1カ国をアメリカにしても調査予定であった2つの機関(CEA, Aaipe)の地理的な問題から両方を調査する事は不可能であるためどちらかを選択しなければならない。 調査では、日本の評価機関と英語教育に特化した海外の評価機関の評価基準を比較して、その相違を明らかにすることによって、日本の文脈で導入や応用が可能であるすぐれたものがあるか検証する。また、実際にその英語教育に特化した評価基準や評価のあり方が現場でどのように活用され、教育改善に反映されているのかについてアンケートやインタビューによる実地調査を行い、そこから見えてくる日本の英語教育評価の課題をまとめる。平成26年度には、その日本の文脈での英語教育評価の課題をもとに、大学が恒常的に英語プログラムを改善していくことができるプロトタイプの英語教育評価基準と評価方法のあり方を提言する。またその評価基準を用いて、実際にいくつかの日本の大学の英語プログラム評価を実施し報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度の平成24年度は、文献調査のみを行ったため、コンピューターと研究図書・資料以外には、印刷用インクやファイル等文具にしか研究費を使用していない。よって平成25年度に予定している実地調査やデータ処理に必要な設備備品を購入する。実地調査は、少なくとも1カ国、できれば2カ国を予定しているため、その旅費及びデータ収集のための謝金、調査後のデータを処理する為のアルバイト代等の費用も必要になる。また国内での少なくとも2回の研究成果発表を予定しているのでその為の旅費に研究費を使用予定である。
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