2012 Fiscal Year Research-status Report
日本人とコーヒー生産をめぐる国際移動とネットワークに関する歴史学的考察
Project/Area Number |
24720284
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グローバルヒストリー / 移民史 / コーヒー栽培 / ハワイ / 台湾 |
Research Abstract |
[研究成果の具体的内容] 本年度は初年度ということもあり、グローバルヒストリーに関する文献と動向に関する調査を行った。特に文献に関しては、グローバルヒストリーの方法論に関する文献、グローバルヒストリーをキーワードとした文献・学術論文・雑誌の収集を行うと同時に、グローバルヒストリーを相対するためワールドヒストリー、帝国史研究の動向も探った。また、2012年9月27-29日には、イギリス・オックスフォードにて開催されたグローバルヒストリーの国際学会に出席し、研究者との意見交換を積極的に行うとともに、ヨーロッパにおけるグローバルヒストリーの特徴について把握した。さらには、24年度に行う予定の台湾コーヒー農園調査に向けて、台湾コーヒーに関する情報の収集、資料収集可能な研究所等の事前調査を行った。 [研究の意義と重要性] 以上の研究は、23年度、24年度に行う調査において以下の点で重要であると考える。1.グローバルヒストリーに関する文献と動向調査は24年度、25年度に本格的にフィールド調査(主にハワイ、台湾)を行ううえで、理論的な枠組みと調査方法を決定するために重要であった。また、本研究をグローバルヒストリーの枠組みから調査することに対する利点と限界を見出すことができた点も意義があると考える。2.オックスフォードでの開催された国際学会への出席は、ヨーロッパのグローバルヒストリーの研究状況を概観するのにとても有益であり、グローバルヒストリーがこれまでの「帝国史」の読み替えとして使用されている現状がわかった。本研究がこのような西欧中心的なグローバルヒストリーの流れにどのような視点を与えることができるかという問題意識を持つことができた点で意義があったと考える。3.台湾コーヒーに関する事前調査は23年度、24年度のフィールドワークを円滑に有意義に行うために重要な調査となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[現在までの達成度に関して「やや遅れている」と解答した理由] 1.当初の研究計画では、23年度に台湾でフィールド調査を行う予定であったが、予期せぬ大学の業務により行うことができなかった。そのため、現地には行くことができなかったが、日本で台湾コーヒーに関する文献・情報収集をすることにより、24年度のフィールド調査のための準備を行った。2.23年度はグローバルヒストリーの動向をまとめた論文を書き、投稿することを目的としていたが、1.と同様の理由で行うことができなかった。よって、24年度中には論文をまとめることを目標としている。 [予定通りに行った項目] 1.グローバルヒストリーに関する文献調査は予定通りに行うことができ、資料調査は順調に進んでいるといえる。2.グローバルヒストリーに関する国際学会へ出席し、ヨーロッパの研究動向に関する深い理解とともに世界各国からの研究者と交流したことも目標を達成したといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、以下の通りである。 [24年度]1.23年度に行うことができなかった台湾でのフィールド調査(1週間程度)を実施する。時期は本年度の8月下旬を目標とする。2.グローバルヒストリーの研究動向に関する論文を執筆する。3.台湾のフィールド調査をもとにして、国内学会での発表を行う。現在のところ歴史学研究会を検討している。4.2014年2月末には1週間ほどハワイで調査を行い、戦前ハワイから台湾へ渡った経緯についての情報収集を行う。 [25年度]1.最終年度にあたるため、これまでの調査をもとに日本人コーヒー栽培者のグローバルヒストリーに関する本の草稿執筆を行う。完成はH26年度を目ざす。2.これまでの調査成果を国際学会で行う。現在のところ、世界史学会を検討している。3.一般市民へ研究成果を発表するため、本務校(上智大学)にて一般公開講座を担当する予定である。4.H24年度に現地調査が不足だった場合は、H25年度に追加調査を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
[次年度の研究費使用計画] 1.海外旅費(台湾、ハワイ)として60万円の支出を予定している。内訳としては、台湾(4泊5日)20万円(航空券、宿泊費、日当、現地移動代)、ハワイ(6泊8日)40万円(航空券、宿泊費、日当、レンタカー代)である。2.人件費(資料整理)として10万円の支出を予定している。内訳としては資料整理費8万円と台湾調査での通訳者金2万円である。3.物品費(図書購入費、複写費)として5万円の支出を予定している。内容は、図書購入費4万、複写費1万円である。
|
Research Products
(1 results)