2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24720288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳竹 亜紀子 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70552488)
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Keywords | 日本古代寺院造営 / 正倉院文書 / 東大寺 |
Research Abstract |
平成25年度における本研究では、データベース作成を主体とする基礎的作業の進行と、平成24年度の研究成果に基づく考察と成果発表という二つの実績を挙げることができた。 まず、データベース作成では、日本古代史関係史料のうち六国史などの基礎的史料を網羅的に調査し、寺院造営に関わる史料を抽出してデータベース化した。なお、平成26年度は、『類聚三代格』や『延喜式』などの法制史料のほか、出土文字史料についても引き続き網羅的に調査し、平成25年度作成のデータベースと合わせて寺院造営関係史料データベースを完成させる予定である。 次に、平成25年度中には①「古代の作画事業と画工司」(『古代文化』65-1、2013年6月)、②「画所解考」(『国史談話会雑誌』54、2014年1月)という2本の論文を発表した。これらは、正倉院文書を中心に研究を進めた平成24年度の本研究の成果に基づき、論文として発表したものである。①では、令外官司によって推し進められる寺院造営事業が、令制官司からの人員派遣によって支えられていたという構造を明らかにすることができた。この成果は、本研究全体の土台となる大きな成果であると考えられる。また、②では、本研究が主な事例として扱う東大寺の造営過程のうち、大仏殿の造営過程の一端を明らかにしたものである。その研究手法には、近年めざましく進展している正倉院文書研究の最新の成果を取り入れることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、寺院造営機構の構成と運営の復原的解明を行い、日本古代における寺院造営の全容解明を目指す。そのために、①正倉院文書に残る寺院造営関係史料を検討して造東大寺司の機構と運営を復原解明する、②六国史や寺史史料、縁起等を検討して「造寺司」の時期的な重複関係内部組織を明らかにする、という二つの研究の柱を設定した。 平成25年度までに、①である正倉院文書の研究はかなりの程度進展しており、研究開始時の予想以上に進んでいると言ってよい状況である。しかし、②に関しては、データベース作成に時間を費やしており、平成25年度までに完成させることはできなかった。平成26年度も引き続き資料収集に努め、データベースの完成を目指し、さらに検討に入らなければならない。 上記のように①と②の進捗状況を総合的に判断して、「(2)おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の最終年度である。 まず、第一に寺院造営関係史料データベースを完成させる。平成25年度までに六国史の資料収集を終えているので、平成26年度は、法制史料と出土文字史料を中心に資料収集を行い、データベースの完成を目指す。 次に、正倉院文書を中心に、東大寺の造営についての検討を進め、平成26年度内にその成果を論文として発表することを目指す。 第三に、作成したデータベースを基に寺院造営史料を検討し、日本古代における国家的寺院造営事業の特質を明らかにし、本研究のまとめとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベース作成作業を10月から開始したことにより、人件費・謝金が当初予定していた金額よりも少なくなったため。 次年度は早い時期からデータベース作成作業に取りかかり、人件費・謝金として使用する予定である。
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