2014 Fiscal Year Annual Research Report
近世身分制の解体と村・地域社会―熊本藩領の金納郷士を事例に―
Project/Area Number |
24720298
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
今村 直樹 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (50570727)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 金納郷士 / 地域社会 / 近世身分制 / 明治維新 / 熊本藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世身分制の解体と近代社会の生成をめぐる特質を探る目的から、永青文庫細川家資料における藩政史料を分析の中心にすえて、熊本藩領における金納郷士と村・地域社会との具体的関係、および金納郷士制の解体過程を、近世後期から明治前期までのタイムスパンで明らかにするものである。 本研究の最終年度にあたる平成26年度は、当初に計画していた細川家資料における藩政史料(主に「口書」)の調査・分析作業、ならびに研究成果の公表に向けた作業を重点的に行った。その結果、近世後期の金納郷士と村社会との関係を示した記述を、当該期の「口書」から数多く発見し、村社会や一般百姓層の動向に規定される金納郷士の実態に迫ることができた。また、細川家資料の藩政史料に質量ともに匹敵する、伊豆韮山江川文庫の代官所史料の調査・分析作業も継続して行い、藩領国地域と幕領地域との比較研究の観点から、熊本藩という「領国地域社会」の特質を浮き彫りにすることができた。 以上で得た知見に関しては、①「近世後期藩領国の行財政システムと地域社会―熊本藩を中心に―」(岩波講座『日本経済の歴史』研究会、平成26年5月)、②「近世後期の広域年貢請制と経済成長―熊本藩領の手永を中心に―」(七隈史学会第16回大会、平成26年9月)で、それぞれ研究報告を行った。また、学術書として『日本近世の領国地域社会―熊本藩政の成立・改革・展開―』(稲葉継陽と共編、吉川弘文館、平成27年2月)を刊行することができ、個別の学術論文でも、①「近世後期藩領国における地方役人の『出世』と『派閥』」(稲葉継陽・花岡興史・三澤純編『中近世の領主支配と民間社会』、熊本出版文化会館、平成26年10月)、②「農民一揆後の『付ケ火』と近代移行期の地域秩序―熊本県阿蘇郡を事例に―」(『史林』97巻6号、平成27年3月)などを発表することができた。
|
Research Products
(6 results)