2012 Fiscal Year Research-status Report
旧藩主家の為替制度と地方の近代化をめぐる基盤的研究
Project/Area Number |
24720301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
内山 一幸 北九州市立大学, 文学部, 非常勤講師 (80454411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 旧藩主 / 近代化 / 為替 / 地域社会 |
Research Abstract |
当該年度は研究計画に基づき、旧柳河藩主立花家の為替制度に関する基礎的な研究を行った。具体的には「旧柳河藩主立花家文書」の家政に関する「令扶日記」(明治11年から15年)、「勘定掛日記」(明治書翰(明治3~12年)、財政の帳簿(明治5~15年)などを分析することにより、①為替制度の前提となる明治零年代の送金システムの解明、②為替制度そのものの成立過程とその制度の実態の解明、③為替利用者のデータベースの作成、以上の3点について実施した。 ①については、旧柳河藩主立花家においては家禄を旧藩領で受け取り、現金化した上で柳川―長崎―横浜間で活動する在来の商人の為替を利用して、東京邸へ送金していたことが判明した。②については、旧藩主家の収入が第十五国立銀行の株式配当に切り替わり、東京邸に資金が入る仕組みとなったため、柳川邸へ送金する必要性が生じ、他方で在地において東京への送金の需要が発生したため、立花家に為替制度が成立したことがわかった。③については為替を利用した日付、送金者、宛先、金額のデータを収集し、全部で444件の事例を得た。 また、比較検討の対象となる旧藩主家について、徳川林政史研究所で旧尾張藩主徳川家の、岩国徴古館および吉川史料館で旧岩国藩主吉川家の、山口県文書館で旧萩藩主毛利家および旧清末藩主毛利家の、宮内公文書館で旧宮内省所蔵文書の史料調査を行った。さらに、研究に必要な文献などを購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要な研究対象である立花家の分析については順調に研究が進んだ。他方で立花家以外の史料調査については、調査先との日程調整が困難であったり、史料情報を精査した結果、事前に期待される成果が挙がらないと判断されたため、当初の予定とは異なる機関で調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は前年度に判明した為替制度の利用者について『柳河藩立花家分限帳』(柳川市、1999年)および明治35年作成の「上り米分割控」との比較照合作業を行う。また彼らの履歴についてはほかの旧柳河藩士族の史料を用いて補足する。さらに、前年度の成果の一部については当該年度に学会で報告を行い、その内容を学術雑誌へ投稿する予定である。 このほかに、前年度に引き続き東京に所在する史料所蔵機関(国文学研究資料館、学習院大学、明治大学)の旧藩主家文書の調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多くは東京での調査費用に充てる。あわせて調査で使用するノートパソコンを購入する。また、必要に応じて学会・研究会へ出席するために用いる予定である。このほかに必要な文献の購入費に充てる。
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Research Products
(3 results)