2013 Fiscal Year Research-status Report
旧藩主家の為替制度と地方の近代化をめぐる基盤的研究
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24720301
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
内山 一幸 北九州市立大学, 文学部, 非常勤講師 (80454411)
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Keywords | 旧藩主家 / 近代化 / 為替 / 地域社会 |
Research Abstract |
当該年度は前年度に判明した立花家の為替制度の利用者について、旧柳河藩士に関する他の史料との照合作業を行うことで人物の特定を行った。具体的には柳川市史編集委員会編『柳河藩立花家分限帳』(柳川市、1999年)および明治35年作成の「上り米分割控」(「旧柳河藩主立花家文書」)を用いた。また、そこで判明した人物の履歴については「旧柳河藩主立花家文書」や、ほかの旧柳河藩士族の史料、具体的には旧中老の吉田孫一郎の日記を用いて追跡調査を行った。学生については福澤研究センター編『慶應義塾入社帳』(1986年)や学士会の名簿(近代デジタルライブラリー)などを利用して人物の特定を行った。さらに医師については『柳川山門医師会史』(1979年)も利用した。 以上の作業から立花家の為替制度の利用者については、①旧藩主家内の関係者、②上京遊学生、③医者、④銀行の4種が存在することを確認した。①については旧藩主家の内部関係者であるため当然の結果と言えるが、②、③、④の結果からは、旧藩主家の為替制度は単純に家のための制度ではなく、東京と旧藩領とを金融的に結びつける社会的機能を果たしていたことが指摘できる。 また、比較検討対象となる旧藩主家について東京に所在する史料所蔵機関で調査を行った。具体的には国文学研究資料館の旧徳島藩主蜂須賀家、旧熊本藩主細川家、学習院大学史料館所蔵の旧棚倉藩主阿部家、明治大学博物館所蔵の旧延岡藩主内藤家の調査を行った。これらの家の調査からは為替制度に関わる史料を見出すことはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要な研究対象である立花家については順調に研究が進んだ。また、他家の史料調査についても東京とその近郊に所在する研究機関の調査をほぼ予定通り実施できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
データの分析結果に基づき研究の総括を行う。2年目において特定できなかった人物については継続的に調査を実施する。また、必要に応じて立花家および他の旧藩主家の史料の補充調査を行う。研究費の残額との兼ね合いもあるが、1年目に実施できなかった東京以外の地域の史料調査も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目のその他の支出が少なかったために、若干の余剰金が生じた。これは史料調査の際に可能な限り自ら史料撮影を行ったことで経費が抑えられたと考える。 1年目に調査できなかった史料保存機関があるので、若干の額ではあるが可能な限り旅費に充当したい。
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Research Products
(1 results)