2014 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における植民地博覧会の研究基盤情報の整理と分析
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24720303
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 真実子 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (40626579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 博覧会 / 日本近代史 / 植民地 / 万国博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の主要な研究実績は、「ものから見る世界ー博物館から考える」の講演を11月25日におこなった。またその原稿を加筆、修正したものが「東洋文化研究」(第17号、2015年3月)377-390頁に掲載された。「ものから見る世界ー博物館から考える」と題し、前半では博覧会の歴史をヨーロッパと日本を中心に報告した。 後半では、現在の博物館が直面している問題、とりわけ展示と政治性について言及した。近年、展示をめぐって、展示されているものを所有していた人、文化、民俗について、所有していた、すなわち展示される側からの意義が申し立てられている。また、展示されているものの由来、展示までの経緯についても、所有権などをめぐっては、その見解をめぐり国家間の対立がおこっている。 このように、単に展示されているものだけを見るのではなく、なぜそのものがそこに位置し、全体の中でどのように扱われ、どのような文脈でそのものが展示されているのか、また、展示されていないものへ注意を向けることの重要性を報告した。これは、日本において旧植民地に関する展示、戦争に関する展示をめぐって直面している課題でもある。 また、日本における博物館、博覧会の歴史について、Collection History in Japan from the Seventeenth to Nineteenth Centuriesという英語論文を作成した。現在、英語チェックをおこなっており、完成次第、Journal of history of collectionsに投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、ものと展示の関係性、政治性についての問題に取り組んだ。その結果が、11月の報告、および修正論文「ものから見る世界ー博物館から考える」である。 すでに海外での英語報告の経験はあるが、論文掲載の実績がなかったので、英語論文Collection History in Japan from the Seventeenth to Nineteenth Centuriesを作成し、現在2度目の英語チェック中であり、平成27年度中にはJournal of history of collectionsに投稿する予定である。 また、平成25年度から調査、研究をすすめている1938年開催の国民精神総動員国防大博覧会、および支那事変聖戦博覧会について、調査研究をすすめ、論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、まず英語論文Collection History in Japan from the Seventeenth to Nineteenth Centuriesを完成させて投稿する。 平成27年度は、ミラノ万国博覧会開催年である。そこで、ミラノへ行き、現地で万国博覧会の調査を行う。また、万国博覧会開催年は、万国博覧会に関する研究書、論文が、各国で比較的に多く出版、刊行される。そこで国内外の万博研究者と積極的に情報交換を行う。 また、パリにある博覧会国際事務局(BIE)や、万博資料を豊富に貯蔵しているパリ国立図書館で調査を行う。 1938年開催の国民精神総動員国防大博覧会、および支那事変聖戦博覧会についての論文を執筆し、投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたが、翌年度分として請求した助成金とあわせ、本年度使用する。2月にパリに資料調査に行くことを計画していたが、テロがあり、計画を中止したため、残額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を、翌年度分として請求した助成金とあわせ、本年度使用する。その際、ミラノ万博の調査と、前年度に行くことができなかったパリでの資料調査のため海外へ出張する。国内においては、乃村工藝社など博覧会資料を有する機関への出張調査費として使用する。本年は万国博覧会開催年であるため、多くの論文、著書の刊行が予想される。そこで、万国博覧会関連資料、研究書を購入する。
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