2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720305
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山田 彩起子 明治大学, 文学部, 兼任講師 (80573956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 女性院宮 / 女房 / 西園寺家 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、鎌倉時代中・後期の西園寺家出身の女院の、①西園寺家における役割、②和歌文化圏との関係について考察した(但し史料の制約により、考察対象にできたのは、後嵯峨天皇の后で後深草・亀山両天皇の母大宮院と伏見天皇の后で後伏見天皇の養母の永福門院の2名にほぼ限られる)。まず①について。大宮院に関しては、西園寺家の仏事の主催を通して、同家の格式・権威を高めたことが確認できる。一方永福門院に関しては、西園寺家の邸宅や菩提寺・荘園管理等の家政運営に西園寺家当主共々関与したことが確認できる。次に②について。当時様々な歌合・歌会で活躍した女房歌人の出仕先を調べると、院・天皇・東宮そして西園寺家出身女院及びその所生の皇女にほぼ限られており、彼らによる主要女房歌人の独占がうかがえる。 3年間に亘り中世前期の女院・后(以下、両者を総称して「女性院宮」の語を用いる)の文化圏の様相を明らかにするべく、女性院宮とその実家の関係や女性院宮を取り巻く人々(特に文化の主要な担い手となる女房)・多くの女性院宮にとっての出発点である天皇や東宮との婚礼のあり方について調査した。女房に関しては、女性院宮づきの女房の成立過程すら従来明確ではなかった。『枕草子』や『源氏物語』が生まれた10世紀末~11世紀初頭の后の女房の研究はある程度蓄積されているが、職掌や序列に関してはまだ不明瞭な点もあるため、これも調査し、さらにそこから11世紀後半~13世紀の女房研究(当該期の女房研究は、女性院宮の荘園の預所という視点以外では余り進展していない)へと繋げた。一方、女性院宮の婚礼では、①主な奉仕者である女性院宮の家政機関職員や女房の役割分担は、彼らの出自に応じて明確に分かれていたこと、②婚礼に必要な用途の多くは、女性院宮の実家等が負担し、諸国所課のような公的な調達方法の活用はごく限られていたこと、が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)