2014 Fiscal Year Research-status Report
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24720310
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
人見 佐知子 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (00457029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 芸娼妓解放令 / 娼妓 / 遊廓社会 / 性売買 / ジェンダー / 売春社会 / 遊廓 / 公娼制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の成果を得た。 1.「芸娼妓解放令」後の遊廓社会の動向について東京府を対象に検討した論文「公娼制度の近代転換期」(『部落問題研究』209号)を執筆した。本稿では、「芸娼妓解放令」直後の東京府、遊女屋、茶屋などの動向から、近世の性売買システムを再編し近代公娼制度の成立へといたる過程を明らかにした。 2.「芸娼妓解放令」の歴史的意義を東京府を対象に検討した論文「セクシュアリティの変容と明治維新」(『講座明治維新9 明治維新と女性』有志舎、2015年)を執筆した。本稿では、①芸娼妓解放令の実施過程を政府、東京府、地域社会のそれぞれの動向をふまえて明らかにし、②芸娼妓「解放」の実態を具体的に解明した。また、③芸娼妓の「解放」が遊廓社会にいかなる変容をせまったのかを検討し、近代転換期の遊廓社会が抱えた矛盾と、それが芸娼妓のセクシュアリティにいかなる影響を与えたのかを考察した。 3.これまで発表してきた拙稿に新稿をくわえて著書『近代公娼制度の社会史的研究』(日本経済評論社、2015年)を刊行した。本書では、芸娼妓解放令の前後を中心に、近代転換期の公娼制度の歴史的特質を、当該期の地域社会と国家の関係およびその変容過程に即して明らかにすることをめざした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに収集した東京都公文書館所蔵の「芸娼妓解放令」関連資料の翻刻と分析をすすめ、論文を執筆・発表し、著書を執筆・刊行することができた。 ただし、著書の執筆に大幅な時間を費やしたために、昨年度収集した国際日本文化研究センター民事判決原本データベースの芸娼妓関連史料の分析は手つかずのままとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た研究の成果をさらに発展させるため、国際日本文化研究センター民事判決原本データベースの芸娼妓関連史料の分析をすすめる。また、関連史資料の調査をおこなう。その成果は、研究会などで報告するとともに、論文を執筆・発表する。
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Causes of Carryover |
著書の執筆に大幅な時間を要したため、予定していた史料調査を実施できなかったため史料翻刻を依頼せず、謝金を支出しなかったことが、次年度使用額が生じた最大の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各地の文書館・図書館への史料調査および史資料収集のために旅費および複写費を使用する。また、史料調査用のパソコンをはじめとするデジタル機器を購入するために物品費を使用する。収集した史料の翻刻のために、謝金を使用する。 「芸娼妓解放令」関連の史料や図書を購入するために物品費を使用する。研究成果の共有のため、歴史系の学会・研究会に参加する。そのために旅費を使用する。
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Research Products
(3 results)