2014 Fiscal Year Research-status Report
イスラーム政治思想における「正統カリフ」概念の発展とスンナ派の形成
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24720319
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
橋爪 烈 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10613862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 写本研究 / カリフ論 / イマーム論 / イスラーム神学 / スレイマニイェ図書館 / イスタンブル / 正統カリフ / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究活動としては、昨年、一昨年同様、カリフ論を収録するアラビア語著作、特にイスラーム神学に関する書物の写本探索を行ったことが挙げられる。調査場所は昨年同様、イスタンブルのスレイマニイェ図書館ならびにヴェヤジット図書館である。今回の調査ではスレイマニイェ図書館の秘書と緊密な関係を結ぶことができ、写本調査において便宜を図ってもらうことができた。今後の調査研究においても重要な関係の構築であった。 26年度の成果としては、6月末に『イスラームの誕生』という概説書の翻訳を出版したことが挙げられる。初期イスラーム史に関する書籍であるが、政治史面からみたカリフの位置づけを理解するうえで重要な示唆を与えてくれる書物であり、翻訳作業を通じてそうした知見を広げることができた。また25年度に発表した内容を論文化したものが8月に刊行され(タイトルは「「正統カリフ」概念の形成―スンナ派政治思想史の一断面として―」)、本研究で獲得したイスラーム政治思想に関する知見と今後の研究の展開に対する見通しをつける成果を提示することができた。 この他の成果としては、ここ3年間のスレイマニイェ図書館での写本調査の経験を元に、同図書館の概要と調査方法に関する手引きの作成を行ったことが挙げられる。この作業の過程で同図書館所蔵のイスラーム神学写本の概要を把握することになり、今後の調査に資する成果を得たと考えている。また27年6月に東北学院大学で「正統カリフ」に関する講演の依頼を受けたため、その準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重要な写本の複写やカリフ論を収録するテキストの探索・選定は行っているが、テキストの読解・分析作業に時間を費やしており、成果をまとめるまでにいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、遅れている[成果の公表」作業を行う。一件雑誌論文の依頼があるので、そこで26年度の研究成果の一端を公開する予定である。また英文での成果公開を目指しているので、そちらに注力したい。加えて、イスラーム神学に関する書籍の翻訳を依頼されており、この作業の中でカリフ論研究やイスラーム神学に関する成果を提示していくこととする。
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Causes of Carryover |
論文作成の遅れにより、英文校閲代として確保していた予算に余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長が承認されたため、27年度も研究を継続する。その間に英語論文を作成し、その校閲代として使用する。
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