2015 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム政治思想における「正統カリフ」概念の発展とスンナ派の形成
Project/Area Number |
24720319
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
橋爪 烈 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10613862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 正統カリフ / スンナ派 / イマーム論 / アラビア語写本 / タフディール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果をまとめることに専念した。まず2度の講演会で本研究の成果を公開する機会を得た。一つは2015年6月20日東北学院大学で開催された第18回公開講座『生み出される歴史と伝統』の第4回講演会で、「正統カリフ概念の“創出”とその現代的意味:イスラーム政治思想の一側面」と題し、行なった。もう一つは、2015年10月7日千葉県立東部図書館で開催された、千葉県高等学校教育研究会歴史部会2015年度秋季研究協議会での講演で、「カリフ:対シーアの象徴からイスラーム的統治の象徴へ」と題し、高校の地歴科教員に対して行った。 この2つの講演を準備する過程で得た知見と講演会後の質疑応答・意見交換の内容などを踏まえた論文を作成中であり、まもなく完成する予定である。当該論文は山川出版社からの依頼で『歴史と地理 世界史の研究』2016年8月号(No. 698)に掲載予定である。タイトルは「「正統カリフ」概念の淵源としてのタフディール」であり、スンナ派の政治的理想型である「正統カリフ」概念の形成に重要な役割を果たしたタフディール(預言者の教友の有徳性を確認し、彼らの間の序列を決定する行為)が如何にして行われるようになったか、その背景を明らかにする内容である。本研究のまとめとなる論文として位置付けている。 また本年はカリフの権威に挑戦したブワイフ朝君主の支配権に関する意識について明らかにした論文を英語で作成する作業に取り組んだ。現状では、結論部分を残して完成しているが、2015年末に類似の内容を有する論文が刊行されたため、当該論文の内容消化を図っているところである。
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