2013 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮キリスト教会の中国・満州伝道に関する総合的研究
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24720325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松谷 基和 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20548234)
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Keywords | 朝鮮 / キリスト教 / 滿洲 |
Research Abstract |
今年度の当初の計画では、現地の中国に赴き現地の档案館等で資料調査を行う予定であった。しかしながら、おりしも尖閣諸島の問題を嚆矢として日中関係が悪化したこと、また研究代表者が前職から現職に移動し、新たな日常業務に慣れるために予想以上の時間と労力が費用とされたことの外的・内的な要因が重なり、予定通りの現地調査を実施することができなかった。このため、これらの現地調査に変えて、主に国内で課題に関連する文献の収集等の作業に注力した。これらの関連文献を利用して、韓国キリスト教運動の中心人物である安昌浩、李昇薫、李光洙といった人物についての調査を進め、その成果を関連学会で発表した。この結果、これらのキリスト教運動の中心人物たちは単に狭い意味でのナショナリズムにとらわれない幅広い「キリスト教」の捉え方をしていたことが明らかになった。これを踏まえると、満州へ移民した朝鮮人クリスチャンたちも同様に「ナショナル」な枠にとらわれない傾向があり、それが故に国境を越えて満州への移民に積極的に呼応した面があるのではないかとの仮説が浮上してきた。これを実証的に示すためにも、やはり次年度に現地調査を実施し、実際に滿洲の現地でキリスト教運動を展開した朝鮮人クリスチャンリーダーたちの発言・行動を明らかにする資料の発掘は不可欠である。なお、こうした関連学会への参加や発表を通じて、内外の韓国史・中国史分野の研究者との個人的なネットワークが広がり、今後の研究の進め方について助言を受けることができたことも今年度の大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述の通り、本研究の核となる中国現地における新たな資料調査が実施できておらず、画期的な成果が期待できる原資料の所在が確定できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
日中関係も安定化に向かい、研究代表者が現職の業務にも慣れた今年度は、延期されている中国での現地調査を最優先で進める。これが済み次第、米国での調査も実施する。必要に応じて海外の研究者にも協力を要請し、効率の良い資料調査・収集に務める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国で予定していた現地調査が、日中関係の悪化等の政治情勢により延期になったため、旅費分の予算が執行できなかった。 今年度は夏に延期されていた中国出張を行い、冬に米国出張を行い、現地調査分の予算執行計画の遅れを取り戻す予定である。
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