2013 Fiscal Year Research-status Report
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24720330
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 美絵 関西大学, 東西学術研究所, 研究員 (00582842)
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Keywords | 唐代 / 仏教 / ユーラシア |
Research Abstract |
2013年度は、引き続き資料の収集と整理を中心に行った。ユーラシア史と関連づけた唐代仏教史研究という立場から、まず、唐代の政治的背景を知るための作業として、主に7~8世紀における唐内地の政治状況や唐を取り巻く国際情勢と唐の仏教事業とがどのような関係にあるのかを整理した。成果の一部は、『日本史研究』で発表し、また、11月に台湾大学で開かれたワークショップ「仏教史工作坊」(台湾大学歴史系、文學院「跨國界的文化傳釋計畫」)にて、「八世紀後半期的唐朝和佛教―特別是從與國際形勢的關係上―」として報告した。また、唐仏教の唐滅亡後の中国および周辺地域への影響力を探る作業として、昨年度に引き続き遊牧民の沙陀政権に焦点を絞り、沙陀が後唐を建国する過程において仏教が果たした政治的役割などを、唐仏教との関連性に着目しながら資料の整理・読解を行った。その成果は、7月の関西大学東西学術研究所「東アジア宗教儀礼研究班例会」にて「沙陀政権と仏教―後唐建国までを中心に―」として報告を行った。 海外での調査は次の通りである。①中国・西安において唐代以前の宗教石刻史料の調査を行った。具体的には西市博物館、陝西歴史博物館、西安博物院、碑林などに所蔵されている仏教を主とする唐代までの宗教関連の文物を実見し、北朝から唐の造像記や唐代の仏教僧侶の墓誌の文字の確認を行った。②イギリス・ロンドンの大英博物館、大英図書館において仏教を主とする宗教関連の資料調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唐代仏教に影響を与えた人物に関する資料をユーラシア的な視点から広く収集・整理していくことが本研究における重要な作業の一つである。今年度も、宗教関連のものに限定することなく、多方面から収集することができた。とくに、西安の西市博物館所蔵の墓誌調査を進めることができたのは大きな収穫であった。現地調査では研究者等の協力を得ながら、希望する墓誌を実見することができた。また、これと同時に唐代経幢や、中央アジア出身者の文物調査も進めることができた。 イギリス・ロンドンおよびフランス・パリでの敦煌文書の調査も本科研の重要項目である。このうち、2013年度は、ロンドンの大英図書館と大英博物館で、唐以降の仏教関連の諸文書(唐代写経や讃文など)の調査と、唐代仏教に大きな影響を与えたカシミール、ガンダーラ方面の仏像等を実見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、墓誌や経幢などの石刻史料と、翻訳参加者を記した唐代写経と五代期の五臺山関連の文書(巡礼記や讃文など)の調査を行う。8月中旬に中国・銀川で開催される国際学会に参加し、本科研による研究成果の報告を行う予定である。また、学会終了後には現地調査(銀川、固原、西安などを予定)を実施し、とくに唐代仏教史の展開において無視できないソグド人について、文字資料だけでなく、考古・美術資料の調査を実施し、現地研究者との意見交換を行う予定である。 海外調査から得られた情報をもとに、唐代長安仏教界の人的構成(特に外来人)と、それを支えた政治権力の特徴を唐一代を通じて時系順に整理していく予定である。さらに、それらをもとに、ユーラシアの歴史的動向に長安仏教界がいかなる影響を受け、展開したのかを検討していく。以上から得られた成果については、論文としてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度内にロンドンとパリで敦煌文書の調査を実施する予定であったが、ロンドン調査の計画を立てた時点で、残額がパリ調査をするには不十分であったので、繰り越して、次年度のやや費用のかかる海外調査費(国際学会参加も含む)にあてるほうが適切であると判断した。 次年度も引き続き、中国で新たに出版された墓誌・文書関連の図版や研究書を入手し整理を行う。本科研テーマに関わる重要な史料の場合は、中国の現地調査の際に実見する予定である。 また、8月に中国・銀川で実施される国際学会に参加する。学会終了後は、現地(銀川・固原・西安など)の博物館あるいは遺跡等で唐代の中央アジア関連の遺物や宗教関連の資料調査を行う予定である。さらに、フランス・パリの国立図書館で唐~五代の写経や讃文をはじめとする仏教関連の敦煌文書の調査を行う予定である。
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Research Products
(3 results)