2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720330
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 美絵 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (00582842)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ユーラシア / 唐 / 仏教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、唐朝主導の仏教事業に関与した中央ユーラシア出身者の多方面にわたる活動実態の解明を通じ、唐朝における独自の仏教形成と展開の歴史を、総合的かつユーラシア史的視野で再構築することを目指した。 3年間(2012年度~2014年度)の研究を通じ、まず、仏教を推進した政治権力の人的構成の分析や仏教事業とユーラシアの政治情勢との関係を考察した。次に、訳経事業に関わった外国僧の出身地を調べ、天竺出身者だけでなく、ヒンドゥークシュ山脈南北麓地域の吐火羅やケイ賓、そしてカシミールなどの出身者なども含まれること、そのなかには唐と当該地域とをつなぐ外交活動にもかかわるなど政治的な活動を繰り広げる者もいたことが分かった。彼らは、イスラームや吐蕃の圧迫による混乱を避け唐に移動し、そこで様々な仏教活動を展開し、その結果、唐仏教にも大きな影響を与えたとみられ、唐の仏教がユーラシアの政治情勢と密接に関わりながら展開していたことが確認できた。また、そのようにして形成された唐仏教が、唐滅亡後、どのように展開していくのかを探るために、唐で流行した五臺山文殊信仰に着目し、関連する資料収集を行った。その成果の一端として、遊牧民の沙陀が建てた後唐の事例に関する論稿を発表した。 2015年度は、延長期間であったので、新たに海外での資料調査は行わず、2012年度~2014年度の調査で得たデータの整理や、関連する研究の吸収につとめ、上記で述べた成果に対する補足作業を重点的に行った。
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Research Products
(1 results)