2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24720333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Politics and Economy |
Principal Investigator |
小笠原 弘幸 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (40542626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トルコ / ナショナリズム / 歴史認識 / オスマン帝国 |
Research Abstract |
本年度は、トルコ共和国公定歴史学の検討を進めるべく、夏期と冬期にトルコ共和国の諸研究所(イスラーム研究センター、スレイマニエ図書館、アタテュルク図書館、首相府古文書館)、および冬期にはオランダ・ライデン大学において、新聞・雑誌・公文書・単行本などの史料収集を進めた。さらに収集された使用史料の読解・分析を行った。その成果としては、国内と国外で行った二点の学会報告が挙げられる。まず「オスマン帝国タンズィマート期における歴史教育と歴史教科書」(第54回日本オリエント学会、日本オリエント学会、東海大学、2012年11月25日)であり、オスマン帝国の近代化が進んだタンズィマート時代における歴史教科書の分析を行った。次に"The Biblical Origin of the Ottoman Dynasty in 15th and 16th Century"(6th Annual International Conference on Mediterranean Studies 26-29 March 2013, Athens, Greece)では、古典期オスマン帝国の歴史意識について、その旧約聖書に基づく系譜意識について検討した。この両報告は公定歴史学を直接取り扱ったものではないが、公定歴史学の前提をなすオスマン帝国時代の歴史認識を明らかにするうえで重要であり、来年度以降の研究の進展に寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は、予定していた史料収集を十全に推敲することができ、それに加えて国内と国外でそれぞれ一回ずつ学会発表を行った。また、共著の論集に掲載予定の二編の論文も2012年度中に完成(刊行が遅れているため、刊行は2013年度になる)している。そのため、2012年度の達成度は(2)おおむね順調に進展している、といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度においては、トルコ共和国における史料収集を遂行する。イスタンブルにおけるイスラーム研究センター、スレイマニエ図書館、アタテュルク図書館、バヤズィト国立図書館、国民図書館における収集を予定している。その一方で、史料の読解と分析を進め、学会発表と研究論文という形で成果を発表していく。なお2013年5月12日には、大阪大学で行われた日本中東学会第29回年次大会において「「愛国」なき国民史―オスマン帝国アブデュルハミト二世専制下における歴史教科書の分析―」という題目で学会発表を行っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、夏期に史料収集のためトルコ共和国への出張を予定している(30万円程度)。それ以外には、史料購入や複写費として研究費を使用する予定である。
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