2013 Fiscal Year Research-status Report
19世紀アイルランド総合大学新設による社会とナショナリズムの変容
Project/Area Number |
24720337
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
崎山 直樹 千葉大学, 普遍教育センター, 特任講師 (10513088)
|
Keywords | 西欧近現代史 / 高等教育政策史 / アイルランド研究 / 大学史 / ナショナリズム研究 / 国際研究者交流(アイルランド) / 国際情報交換(アイルランド) |
Research Abstract |
本研究は、19世紀後半期に連合王国主導で整備されるアイルランドの総合大学、特に1849年に設立されたクィーンズ大学を、以下の三つのテーマ、(a)新設大学設立の請願と連合王国議会の反応(1830年代~1850年代)、(b)クィーンズ大学の入学者・卒業生に関する数量的考察 (1849年~1880年)、(c)教育内容の変化に関する実証的考察(1849年~1880年)を設定し、分析を行うことを目的としている。 平成25年度は上述した(b)クィーンズ大学の入学者・卒業生に関する数量的考察 (1849年~1880年)、および(c)教育内容の変化に関する実証的考察 (1849年~1880年)、という課題を中心に研究を進めた。具体的には、北アイルランド、ベルファストのクィーンズ大学図書館およびアイルランド、国立図書館ならびに国立文書館にて調査を行った。特にクィーンズ大学図書館では、同館が所蔵しているクィーンズ大学ベルファスト校から政府に提出されたレポートに加え、ベルファスト校の評議会議事録、学位授与機構にあたるクィーンズ大学評議会の史料、および同窓会関連史料、同校に所属していた教員の講義ノートなどを収集し、現在整理、分析を行っている。 これで平成24年度の調査と併せ、本研究の三つ研究課題を考察するために必要な史料の多くは、収集済みとなり、分析の枠組みを再度検討した上で、研究成果としてまとめていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画の中心的な課題は、アイルランドおよび北アイルランドの文書館ならびに図書館での文献調査であった。これは現地のアーキビストならびに図書館司書の支援を受け、当初予定していた史資料にスムーズにアクセスできただけでなく、その多くを電子化し持ち帰ることができた。今後はこれらの史資料に基づき、実証的な考察を進めていくこととなる。 一方で、当初予定していたゴールウェイ(アイルランド)での調査を次年度以降に先送りすることとなった。これは本務校の業務の関係で当初予定していた調査期間が確保できなかったためである。研究対象であるクィーンズ大学の三つのカレッジ(コーク、ベルファスト、ゴールウェイ)それぞれでの調査は本研究の趣旨を考慮しても、必須であり、本年度中に調査を行いたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、平成25年度に実施できなかったゴールウェイ大学での調査を早急に行い、これまでに分析が完了した二つのカレッジ(コーク、ベルファスト)との比較を行いながら、19世紀中葉に設立されたクィーンズ大学の教育目的とその成果を明らかにしていきたい。またこのような大学の変容を同時代の政治、経済的な文脈と併せて考察し、同時代の大英帝国ならびにアイルランドの変化についても検討し、研究成果を公表していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた、アイルランド、ゴールウェイでの調査が日程の都合が付かず延期したために次年度使用額が生じた。 平成26年度夏に、ゴールウェイでの調査を行う。
|
Research Products
(1 results)