2015 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半におけるカナダ製造業の特殊発展過程と英米加経済関係
Project/Area Number |
24720343
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福士 純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60600947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イギリス帝国史 / カナダ史 / アメリカ史 / 経済史 / カナダ製造業 / 関税 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題『20世紀前半におけるカナダ製造業の特殊発展過程と英米加経済関係』の研究実施にあたり、平成27年度は「研究実施計画」に基づき、以下の二点を中心に研究を進めた。 一つ目は、20世紀初頭におけるアメリカ製造業者の動向について検討するということである。この点について、申請者は主にアメリカ最大の製造業者団体である全国製造業者協会(National Association of Manufacturers: NAM)を事例に、当該期のアメリカ製造業者によるカナダ市場への商品輸出、支工場の進出への関心について分析を試みた。その際、NAMが同時代に刊行した機関誌(American Industries)や冊子の入手、分析を行った。 他方で、多くのアメリカ製造業者は既存の米加関税体系の変更を図るのではなく、カナダ国内に支工場を建設することでカナダ市場のへのアクセスを図ろうとしていた。この点についての検討が二つ目の課題であった。この点について、「研究実施計画」にて検討事例として考えていた農業機器産業に加えて、1920年代後半以降のアメリカ航空機産業についての調査も行った。調査の結果、アメリカ航空機製造業者は、カナダ市場への進出を図る際に商品輸出の拡大と支工場の建設の両方を同時推進した。これは、航空機の納入先が主にカナダ空軍や国営の航空会社であり、それらが「カナダ製」の商品しか採用しないため部品輸出のための関税引き下げと支工場建設を同時に推進した例であり、北米における経済統合を考える上で非常に興味深い点である。 また今年度の研究業績としては、全国学会での研究報告を三回行った。この報告はそれぞれ視点が異なるものではあるが、当然ながら本研究課題の成果を反映したものである。当該研究報告は、本研究課題の成果をまずは国内学会にて公表し、批判点、論点を整理した上で現在準備中の論文に反映させている。
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