2012 Fiscal Year Research-status Report
鉄器の出現と普及における流通網及び社会変化に関する日韓比較研究
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24720351
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Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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| Research Institution | Saitama University |
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Principal Investigator |
中村 大介 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (40403480)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | 鉄器 / 流通 / 朝鮮半島 / 中国 |
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| Research Abstract |
日本列島では、鉄器が普及する1世紀頃の弥生時代後期に、従来の石器を含む流通網が解体し、社会的に大きな変化を迎える。これに対し、朝鮮半島では紀元前3世紀後半に鉄器がもたらされ、紀元前1世紀頃には鉄器が普及するが、石器から鉄器への転換過程が不明瞭であり、どのような社会的変化があったか明らかにされていない。利器の鉄器化は、多くの地域で社会の複雑化と相関することから、その実態を解明することが東北アジアの社会変化を解明する手がかりとなりうる。
以上が本研究の目的であるが、本年度は、朝鮮半島で鉄器が普及する以前の段階である青銅器時代後期の拠点集落を集成しつつ、青銅器時代後期の碧玉製品の理化学的分析及び流通について分析を行った。その結果、朝鮮半島西部の錦江流域は、東南部とは異なる玉類の流通網をもつことが判明した。また、次年度に行う予定であった鉄器については、本年度に多くに資料に接する機会を得たため、先にその分析を行った。その結果、朝鮮半島の西部では燕の鉄器が入るだけでなく、燕滅亡後である秦や前漢前期においても継続して鉄器が流入することが判明し、遼東地域から朝鮮半島北部での鉄器製作の定着が、朝鮮半島南部の鉄器流入において重要であることがわかった。
現時点での分析を総合すると、青銅器時代後期から粘土帯土器文化期（紀元前8~2世紀の時期）においては、朝鮮半島の流通網は大きく東西に分かれるようである。もちろん、同一産地の碧玉の流通や石器の共通性など、相互交流もみられるが、土器の地域色はもとより、ある種の碧玉や鉄器など、時期と品目を違えて、西部にしか流通しない或いは極端に集中する文物の存在が明確化しはじめた。そのため、石器から鉄器の変換も東西で異なる可能性が出てきたといえる。次年度はこうした問題も考慮しつつ、資料の集成と玉類の分析を継続し、より総合的な分析を行いたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は朝鮮半島の青銅器時代後期の拠点集落の集成及びその石器の様相を把握することを目的としていた。そして、鉄器の分析は次年度に行う予定であった。しかし、鉄器を分析する機会に恵まれ、論文化することができた。石器についても論文化はしていないものの、主要なデータは収集できた。また、玉類については理化学的分析自体はそれほど多く行うことができなかったものの、青銅器時代後期最大の拠点集落の一つである松菊里遺跡出土の玉類のデータを得ることができ、それが次の時代においても利用される碧玉であることが確認できた。したがって、本年度は多くのデータを入手するとともに、論文化して方向性を明確にできた部分もあるため、順調に研究を推進させえたといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに研究を行う予定であるが、本年度の研究で新たに生じた朝鮮半島の流通網の東西差がどの程度のものであったのかをより深く検討する必要がある。土器の地域差についてはすでに研究しているので、石器の差異を中心にこの問題の分析を進めたい。また、朝鮮半島における分析が予定より進展したので、利器の変化において特徴がある地域の事例も分析を行い、比較検討したい。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品は多くのデータを収集するため、記録媒体を多く購入する予定である。また、資料収集のため、韓国、中国に赴くと同時に、研究発表と比較研究のため、東南アジアやヨーロッパにも赴く予定である。朝鮮半島での分析が予定よりも進展したため、その分を比較検討に適した地域に行くことに使用することにしたい。
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Research Products
(7 results)
