2015 Fiscal Year Annual Research Report
漢帝国における武器生産と手工業の展開に関する考古学的研究
Project/Area Number |
24720353
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
内田 宏美 國學院大學, 文学部, 講師 (50574571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 考古学 / 中国:モンゴル / 漢 / 武器 / 生産 / 手工業 / 弩 / 漆器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、矢を機械的に発射する射撃具として開発された「弩」の分析を通じて、漢帝国の形成や発展に深く関わった武器生産や官営手工業の実態を解明することにある。研究代表者が目的を達成するために取り組んだ課題は、以下の4点にまとめられる。1、資料調査を実施して基礎データの蓄積をはかり、矢の発射装置である青銅製「弩機」の規格の統一化について検証する。2、弩を構成する弩機と骨簽(こっせん)に刻まれた銘文の内容を整理し、弩の製作に関わった官営工房「工官」の組織体制の実態とその変遷を明らかにする。3、「居延漢簡」等の簡牘に見える弩や工官に関する記述を抽出し、弩の銘文内容と比較する。4、弩とは異なる工官で製作されていた「漆器」の銘文と比較し、弩の生産組織の実態を相対化させる。研究最終年度にあたる平成27年度は、前年度までの資料調査や文献収集によって得られたデータを整理・統合し、研究の取りまとめを行った。 これまでの研究成果については、2015年10月16日中国人民大学で開催された国際学会において「漢代官営漆器生産的相関問題-以蒙古国諾音烏拉墓葬出土漆器為中心-(漢代官営漆器生産に関する一考察-モンゴル国ノイン・ウラ遺跡出土漆器を中心として-)」として報告したほか、2016年2月27日石川県立歴史博物館の北アジア調査研究報告会では「北東アジアの複合弓-モンゴル匈奴墓出土資料を中心として-」として発表した。今後は学会発表の内容等をもとに、中国語および英語による論文の執筆・投稿を予定している。
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