2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24720354
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舟橋 京子(石川京子) 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (80617879)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 通過儀礼 / 抜歯風習 / 葬送儀礼 / 古人骨 |
Research Abstract |
①海外の出土人骨資料に関しては、台湾・精華大学校准教授・Chiu Hongling氏の協力の元、台湾南部の先史・古代遺跡出土骨資料調査の調査を行った。また、国内の出土人骨資料に関しては、九州大学総合研究博物館・九州大学比較社会文化研究院考古人類資料室・田辺市郷土博物館で西日本の古墳時代以降の出土人骨資料調査を行った。これらの調査においては抜歯風習の観察・歯冠計測・葬送儀礼の復元・遺跡評価に必要な情報収集を行った。古人骨の資料調査において儀礼に加えて遺跡評価に必要な生活痕跡の観察を行う作業のため作業補助者として学生を同行した。 ②古人骨資料調査の際には骨表面の観察およびデータ記録に際し、CCDカメラ・パソコンを用いた高倍率のデジタル画像撮影が必要であり、そのためにマイクロスコープを購入した。採取した古人骨に関するデータの入力・分析のため統計ソフトを購入した。 ③台湾の諸研究機関および日本の九州大学人文科学研究院において文献を複写し、日本・韓国の報告書・雑誌等を用いて、葬送行為に関する情報を収集した。一方で購入可能な古人骨資料出土遺跡報告書・儀礼関係図書に関しては随時入手した。 ④以上の研究の結果,抜歯風習・葬送儀礼・遺跡の評価を明らかにし,台湾の先史時代および日本列島の古墳時代縁辺部における通過儀礼・葬送儀礼のありようを検討した。その成果の一部に関しては平成24年度九州史学会総会において口頭発表を行った。また,今年度末出版予定の論文集においても学術論文として成果を発表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の研究機関において古人骨資料調査を行い,通過儀礼の復元を行うとともに,社会進化段階の評価に必要な葬送儀礼・親族関係に関する情報の収集も併せて行えている。加えて,研究成果に関して口頭発表を行うとともにH25年度末に学術論文として発表予定もあるなど,一定の学術的成果を上げているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きアジアの諸研究機関において先史・古代遺跡出土古人骨を実際に観察することによりデータを収集する。古人骨に関しては、形質人類学・歯科学的手法を用いて抜歯風習に関するデータを収集・分析する。加えて考古学的手法を用いて葬送行為に関する情報の精査・分析を行い、抜歯個体の社会的地位を明らかにし抜歯儀礼の復元を行うとともに、人骨に供献された歯牙や代替品の存在を明らかにする。これにより抜歯風習及び抜歯儀礼が抽象化された行為の復元を試みる。さらに、世界の民族事例を集めたHRAF資料を用いて、未開社会の通過儀礼の事例収集を行い、抜歯を伴う通過儀礼解明の手がかりとする。 これらの作業に基づき,アジア諸地域において見られる低施行頻度の抜歯風習・葬送行為を主な研究対象とし、社会の複雑化と儀礼の抽象化のモデル化を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|