2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720360
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中門 亮太 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (60612033)
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Keywords | 土器型式 / 土器づくり民族誌 / ミルンベイ州 / 縄文土器 / パプアニューギニア |
Research Abstract |
2012年度に引き続き、9月にパプアニューギニア・ミルンベイ州で土器づくり民族誌調査を行った。今年度は、昨年調査を行ったイーストケープのほか、現地の大規模土器生産地であるワリ島で調査を行った。両地域は、いずれも輪積み法による土器づくりを行っているが、粘土の調整や製作工程に微妙な差異があり、モノの移動のみではわかり得ない技法の認識が土器型式の成立・地域性に大きな影響を持つことを確認した。また、儀礼調理に用いられる特定器種を確認し、異系統土器が共存する背景に、儀礼が存在する可能性を確認した。土器の模倣・変化については、9月の調査で十分に確認できなかったため、2014年2月にイーストケープで追加調査を行った。その結果、高い技術を持つ製作者は、モノを見ただけで土器を模倣することができるが、あまり積極的に模倣土器を製作することはないということが判明した。つまり、土器の分布においては、製作されたものがしっかり受け入れられる必要があり、それ故に土器型式が成立することが伺える。 また、これら土器づくり民族誌から明らかとなった土器型式の実態を縄文土器研究に還元するため、5月に山形県・宮城県へ資料調査に行き、従来東北地方中部として一括りにされてきた両地域の土器に、地域性があることを確認した。2014年2月には、遠隔地における土器の分布について把握するため、奈良県で資料調査を行った。奈良県橿原遺跡では、東北系の土器群が出土しているが、資料を実見した結果、東北からの搬入品ではなく、関東地方への搬入を経たうえで、在地の粘土を用いて製作されたものである可能性が高いことが判明した。 土器づくり民族誌と、出土資料を双方の視点から観察・研究することで、土器型式をめぐる様々な事象が明らかとなり、縄文土器を実際にそれらが使用されていた縄文社会の中で位置づける基礎的な枠組が本研究により完成した。
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