2012 Fiscal Year Research-status Report
考古地磁気学データの集約と高アクセシビリティデータベースの構築
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24720362
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
畠山 唯達 岡山理科大学, 情報処理センター, 准教授 (80368612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 考古地磁気学 / 考古学 / データベース / 地磁気永年変化 / 年代推定法 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実施計画について具体的に以下のことを行った。 (A)データベースの設計:現在手持ちの考古地磁気方位・強度データとその遺跡、場所、時代分布等を基にデータベース設計書を作成した。後から拡張することも考慮し多少の余裕を持たせている。 (B)リレーショナルデータベースへの実装:データベースとフロントエンド部を実装委託する業者を選定、打ち合わせの後に実装作業に入った。データベースは概ね出来上がって、手元のデータのうち一部を掲載しているが、次年度にも変更や拡張を加える予定である。 (C)過去の考古地磁気学研究に関する文献調査:本学の考古学教室にある各種文献(発掘報告書等)より考古地磁気学に関する文献を探し出す作業手順を確立し、実際に作業を開始した。これまでに約千の文献より十数の考古地磁気学報告(約50サイトのデータ)を見つけており、現在精査中のこれらデータは今後データベースへと追加する予定である。 (D)考古地磁気学・完新世の地磁気学に関する研究集会の開催と議論:2013年3月2,3日に本学で小研究集会を開催した。これには十数名が集り各自現状の報告と濃密な議論ができた。日本における考古地磁気コミュニティは人数こそ少ないものの、近年世代交代が進んでいる。このような研究集会を継続的に開催することが発展のために大きく寄与すると考えている。 (A)~(D)の結果に加え、(B)の作業について打ち合わせ等をするうちに、フロントエンド部(Webアプリケーション部)の作成も同時に進める方が作業効率が良いとわかり、こちらの作業も開始した。現在Webサービス(の一部)を公開するところまでこぎつけている(http://mag.center.ous.ac.jp/)。また、日本における地磁気永年変化の特徴から、考古地磁気年代推定法について一定の制約(得意な年代・不得意な年代)を割り出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に挙げた(1)使い勝手の良い考古地磁気データベースの作成と公開, (2)発掘報告書等に埋もれている考古地磁気学データ・文献の発掘とデータベースへの追加, (3)考古学年代値が明確に付与されていない考古地磁気データについての年代値の調査, (4)アップデートしたデータベースをもとにした地磁気永年変化モデルの改訂, についてそれぞれ以下のような進捗状況である。 (1)については上記概要に記したように作業手順の組換えを行った結果、予定よりも進んでいる。当初平成25年度の計画に予定していたフロントエンド部のうち、データの入力インターフェイスについてはほぼ実装が終わり、一般に公開するWebアプリケーション(サービス)部についても基本的な部分について実装が行われている。現在は、暫定公開フェーズに入ってコミュニティへのアナウンスと公表をする段階まで来ている。(2)については、考古学文献資料から考古地磁気学報告を探し出す作業が始まり、一定の成果が出ている。これについては今後も進めたい。また、他の研究者や図書館等からの文献を取り寄せる作業も並行して行っている。(3)については、まだまだこれからである。すでに手元にある文献を調べる限り、考古地磁気学推定年代のみが載っているものが多く、新規に年代値が付くものはなかなかなさそうである。ここについては数少なくても見つかればよいと考えているので、この作業を続けていくとともに、インターネット等の手段を使い、新規に付与された年代があるかの検索を続けたい。(4)については、データベースのアップデート作業をしている最中であるので、今後手を付けるべき作業である。 以上のことから、達成度としては「おおむね順調」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書「平成25年度の研究実施計画」に基づいて、以下の方向で研究を進める予定である。 目的(1)について、引き続きデータベースの構築作業を進める。特に、現在できているリレーショナルデータベースの細目についての修正・増補作業を行う。また、Webアプリケーションについては引き続き改良とサービスの充実をはかっていく作業を続けると同時に、考古学研究者や教育関係者、学生、一般向けにもわかりやすい考古地磁気と地磁気永年変化、考古地磁気年代推定について説明を増やしていく予定である。 目的(2)については、平成24年度に開始した調査を引き続き行う。新たに見つかった考古地磁気データについては、吟味してデータベースへ加える作業を行う。さらに(1)で作っているデータベースをアナウンスする段階で、国内の他の考古学・考古地磁気学研究者へデータ提供を行う。協力してくれそうな方には直接出向いて、データベース化の意義についてご説明したい。 目的(3)については、(2)同様文献をあたって考古学年代値の調査を行う。また、インターネット上にある他のデータベースや情報から、遺跡年代等についての調査を行う。 目的(4)については、データベースの更新が進んだのち、地磁気永年変化モデルのアップデートを行う。また、(1)のサービス等で可視化して表示させたい。 また、昨年度同様日本の考古地磁気コミュニティとの連携をはかるため、小研究集会を開催する。今年度の研究集会では特に(2)で挙げた今後協力してくれそうな人や、今後データを増やすべき考古地磁気強度測定をしている研究者を招待したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画について、金額の大きいものから列挙する。 一番大きな用途は、目的(1)についてのデータベースの実装作業の委託である(「その他」に約60万円を予定)。 次に旅費であるが、目的は2つあり、研究成果やデータベースの発表のためと、研究協力者を訪ねデータや年代について話し合うためである。後者は受け入れてもらえるか多少の流動性がある(約50万円を予定)。 次は人件費・謝金である。目的は2つあり、文献調査を考古学関係・地球科学関係の学生に委託するためと、研究集会にかかる費用である(約30万円を予定)。 最後は物品であるが、これは昨年度導入したサーバー周辺の機器購入や文献を整理用物品、その他研究遂行上の物品購入に使用する予定である(約8万円を予定)。
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Research Products
(7 results)