2013 Fiscal Year Research-status Report
浅鉢形土器の型式学的検討を通じた縄文社会構造の研究
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24720364
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
Principal Investigator |
井出 浩正 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, 研究員 (20434235)
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Keywords | 縄文時代 / 博物館 / 縄文土器 / 深鉢 / 浅鉢 / 型式学 / 儀礼 / 社会構造 |
Research Abstract |
本研究は縄文時代中期における供膳具・供献具としての浅鉢の機能に着目し、浅鉢の型式学的検討を通じた地域集団間の交渉史とその実態を明らかにすることを目的とする。研究を進めるにあたり、「A.浅鉢のデータ作成」、「B.浅鉢の法量計測と肉眼観察」、「C.浅鉢と深鉢の比較による両者の社会的機能差の抽出」という大きく3つの研究テーマを設定し、A、B、Cの順に研究を展開する。 当該年度は前年度の進捗を踏まえつつ、A、Bを継続し、(1)遺跡出土浅鉢のデータベース化(文献〈発掘調査報告書等〉の悉皆調査と文献複写)、(2)浅鉢の実見・計測・観察(資料の実見と肉眼観察)を進めた。 (1)については、本年度は文献の悉皆調査(発掘調査報告書等)による、遺跡出土の浅鉢のデータベース化を進めた。当該研究が対象とする地域の発掘調査報告事例の検索と浅鉢が出土した事例の集積及び分析を実施した。当該年度データベース化の主な対象地域である東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、長野県、新潟県、福島県、のうち、東京都、神奈川県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、長野県、の文献の検索と収集・複写作業等を計10回実施し、調査を進めることができた。 (2)については、資料の実見・計測・観察を行った。対象地域として茨城県、群馬県、神奈川県、長野県において各一回実施し、本研究を進める上で中心となる資料の確認と実見をすることができた。 (3)については、(1)および(2)の成果をうけ現在総合的な検討を進めている。平成26年度中に研究論文1本および東京国立博物館において発表を予定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は「A.浅鉢のデータ作成」、「B.浅鉢の法量計測と肉眼観察」、「C.浅鉢と深鉢の比較による両者の社会的機能差の抽出」という大きく3つの研究テーマを設定し、A、B、Cの順に研究を展開している。Aは(1)遺跡出土浅鉢のデータベース化(文献〈発掘調査報告書等〉の悉皆調査と文献複写)を中心に作業を進めているが、一部の対象地域において、研究計画作成以降の行政発掘調査等による新出資料の大きな増加が見受けられ、それらのデータベース化が一部未了となり、全体的な成果発表までに至らなかった。また、申請者の個人的な事情により補助期間の延長を申請するなど、スケジュールの一部を再調整する必要が生じたため(学振への補助期間の申請・了承済み)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は「A.浅鉢のデータ作成」、「B.浅鉢の法量計測と肉眼観察」、「C.浅鉢と深鉢の比較による両者の社会的機能差の抽出」という3つのテーマがあり、概ねA、B、Cの順に研究を進めている。 Aは(1)遺跡出土浅鉢のデータベース化(文献〈発掘調査報告書等〉の悉皆調査と文献複写)が中心となるが、すでに得られた前年度までのデータをリチェックしつつ、さらに重要情報等の遺漏がないよう総合的な検討を行う予定である。 Bは(2)浅鉢の実見・計測・観察(資料の実見と肉眼観察)を中心に進めているが、当初の対象地域のデータ集約を踏まえた検討段階に至っている。平成26年度実施分を加えた総合的な検討を更に進めたい。 以上を踏まえた上で、研究計画書作成以降に発生した新発見の資料については、増加分のデータベース化を含めて継続的に実施する。そのうえで、平成26年度中に上記のA,Bを受ける形で総合的なCに係る成果発表を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度5月から同7月まで申請者の実母の病気入院と手術が生じ、入院中および退院後に申請者の付き添いが必要となった。そのため、当該期間に予定していた調査スケジュールを変更する事態となり、平成25年度下半期に予定していた関東の一部と北陸および南東北地方の調査を次年度に持ち越さざるを得ない状況となったため、それらの資料調査とそのデータベース化、研究成果発表に係る金額として、次年度使用額が発生した。 関東地方の一部(群馬県北部地域)と北陸地方(新潟県を中心とする)、南東北地方(福島県を中心とする)の資料調査やデータベース化、全体的な成果発表を平成26年度に実施する。該当する次年度使用額は、上記のデータベース化や資料調査、成果発表に係る経費に充てる予定である。
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