2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会を支える健康基盤としての都市ウォーカビリティの研究
Project/Area Number |
24720373
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 育穂 中央大学, 理工学部, 教授 (00594756)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市の歩きやすさ(ウォーカビリティ) / 近隣住環境 / 身体活動 / 徒歩・歩行 / 超高齢社会 / 空間情報科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都市環境の歩きやすさ「ウォーカビリティ(walkability)」を超高齢社会の健康を支える社会的インフラストラクチャとして捉え、その可能性やあり方を調査・検証することである。歩きやすい都市空間は、徒歩を住民の日常生活における好ましい交通手段へと引き上げて、自動車に依存しないライフスタイルをサポートし、身体活動量の増加とその結果としての健康維持・促進に貢献するという仮説のもと、本研究では、空間情報科学的手法を用いたデータ解析やアンケート調査を通じて、その効果を明らかにすることを目指している。 本研究の実施計画は、次の5段階からなっていた。1.既存研究の体系的調査と整理; 2.高齢者を対象とした居住都市環境の「歩きやすさ」に関する聞き取り調査; 3.GISを用いた客観的ウォーカビリティ指標の算出; 4.居住環境のウォーカビリティ評価に関するアンケート調査および歩行活動の実測調査; 5.居住環境のウォーカビリティと歩行活動の関連性についての統計的解析。 昨年度までのスケジュールの遅れを鑑み、今年度は第4、第5段階を中心に研究を進めた。静岡県袋井市を対象に約5000世帯に主として郵送で調査票を配布し、近隣居住環境に関する評価と日常の身体活動レベルについて調査を行った。対象地域選定の主な理由は、静岡県は健康寿命が長く、特に袋井市は「日本一健康文化都市」をまちづくりの目標としており、住民の健康への関心が高いと推測されること、積雪など徒歩移動に対する季節的な影響要因が小さいこと、鉄道駅を中心とした区画整理事業等が完了あるいは予定されている地区があり、まちづくりの長期的な影響を調査できる可能性があることの3点である。現在、寄せられた約1300通の回答と第3段階で算出した客観的ウォーカビリティ指標と合わせた解析を進めており、2016年春の日本地理学会学術大会で第一報を報告した。
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