2013 Fiscal Year Research-status Report
整備新幹線建設にともなう都市空間形成の政治プロセスに関する研究
Project/Area Number |
24720374
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武者 忠彦 信州大学, 経済学部, 准教授 (70432177)
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Keywords | 都市開発 / 新幹線 / 都市政策 / 都市政治 |
Research Abstract |
本研究は,整備新幹線建設にともなって各地に建設された新幹線駅周辺の都市空間がいかにして形成され,いかなる影響をもたらしたのかについて,開発をめぐる政治経済と計画のプロセスを明らかにし,それらの都市間比較分析と評価を試みるものである。研究方法としては,開発当時の地方政治家,都市計画担当者,地域住民などへのインタビュー調査が中心であり,平成25年度は博多,新鳥栖,筑後船小屋,熊本,川内などの各駅を中心に,周辺開発についての調査を実施した。 政治経済のプロセスについては,中央レベルでは地域開発政策の資源配分(優先着工順位など)の問題として認識され,都市(地方)レベルでは,そうした地域開発の思想に乗りかかるように,新幹線による近代化の物語が共有されるプロセスであることが確認された。ただし,近年の開発事例では,開発関連の公共投資を抑制するなど,そうした物語から一定の距離を置く傾向もみられた。 計画のプロセスは,新幹線による近代化という目標の空間的表現である。前年度に実施した佐久平駅の事例分析と同様に,近代都市計画の価値観にもとづいて,交通ネットワーク強化や土地利用純化,人口増加志向による田園地帯の土地利用転換と基盤整備が進んだことが確認された。特に,新幹線駅周辺を大都市圏の「飛び地」として位置づけ,開発を進める事例が多くみられた一方で,都市マスタープランをはじめとするローカルな計画との整合性は必ずしも十分ではないことも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の課題は,前年度の佐久平駅周辺の調査を踏まえて,複数の事例調査を行い,比較分析を行うことであった。調査内容は,内地留学先の大分大学におけるセミナー等でも複数回発表し,十分に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の課題は大きく分けて,①整備新幹線計画の関係主体へのインタビュー調査,②調査結果をふまえた都市間比較分析と研究成果の発表となる。これらはおおむね25年度から継続した課題であり,最終年度である27年度に向けて,26年度内には事例調査を終える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大分大学に内地研究で滞在したことにより,九州地方での調査などで当初の見込みよりも旅費が抑えられたため。 前年度に生じた残額は,大分大学での内地研究中に有力な調査協力者が得られた熊本をはじめ,越後船小屋,久留米など,九州地方での調査での調査日数を増やすために,主として旅費に充当する。また,一部は乗降客数データの収集など,交通流動の分析にも利用する。
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Research Products
(1 results)