2014 Fiscal Year Research-status Report
整備新幹線建設にともなう都市空間形成の政治プロセスに関する研究
Project/Area Number |
24720374
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武者 忠彦 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (70432177)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 都市開発 / 新幹線 / 都市政策 / 都市政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き,整備新幹線建設にともなって各地に建設された新幹線駅周辺の都市空間がいかにして形成され,いかなる影響をもたらしたのかについて,開発をめぐる政治経済と計画のプロセスを明らかにし,それらの都市間比較分析と評価を試みた。研究方法としては,開発当時の地方政治家,都市計画担当者,地域住民などへのインタビュー調査が中心であり,平成26年度は岐阜羽島駅周辺の開発を中心に調査を実施した。
東海道新幹線が建設された時代は,近代都市計画史から見れば「近代都市」を官僚主導で具現化していった時代に重なるが,岐阜羽島のような新設の新幹線駅周辺は,そうした近代都市像を実現する格好の舞台となった。一方で,1970年前後は都市計画法と建築基準法があいついで改正され,線引きや容積率などの導入によって,都市計画手法の標準化が進んだ時期であった。これらを背景に,新幹線駅の立地が決定した自治体では,産業誘致と人口増加をテーマとした新しい都市計画がつくられたが,新幹線駅の立地にともなう変化を過大に評価する傾向もみられた。新幹線開業前の1959年当時の人口が約4.2 万人,工業生産額が110億円であった羽島市も,1962年に策定した都市計画では,開業後の1970年に人口約13.2万人,工業生産額990億円となるという推計にもとづいて土地利用が構想された。しかし,実際の1970年の人口が約4.8万だったように,広い道路と高層建築に象徴される近代都市計画は,必ずしも豊かなコミュニティや賑わいをもたらすことはなく,近代都市のモデルは見直しを迫られている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の課題は①整備新幹線計画の関係主体へのインタビュー調査,②調査結果をふまえた都市間比較分析と研究成果発表であったが,岐阜羽島の事例分析を先行して発表するなどの成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である27年度は,地学雑誌(特集号)への投稿をはじめ,これまでの事例調査を体系化して成果をまとめる予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画したよりも,岐阜羽島市における調査のウエイトが大きくなり,当初予定していた複数地域での調査旅費が圧縮されたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成27年度請求額とあわせて,26年度実施しなかった事例地域での調査日数を増やすため,主として旅費に充当する。また,一部は乗降客数データの収集など,交通流動の分析にも利用する。
|
Research Products
(1 results)