2014 Fiscal Year Research-status Report
トンガのカボチャ生産をめぐる生産者群の動態と社会・資源利用の変動
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24720379
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大呂 興平 大分大学, 経済学部, 准教授 (50370622)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トンガ / カボチャ / 農産物 / 資源利用 / 農業 / 国際価値連鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目までの調査研究を通じて,2000年代以降の日本のカボチャ供給をめぐって,ニュージーランドやメキシコで生産規模の拡大が急速に進んだにもかかわらず,1)トンガでは産地として生産性を向上させることができず競争力を失ったこと,2)カボチャの急拡大・縮小に伴って島全体の土地利用が大きく変化したことが明らかになっていた.これらは,関係者への予察的な聞き取り調査と,現地で持ち帰った統計の分析や政府資料の読み込みを通じて明らかになっていたが,3)なぜ産地として競争力を維持できなかったのか,なぜ土地利用が変化したのか,については,各主体へのより詳細な聞き取りを通じて正確に把握する作業が残されていた.3年目である平成26年度は,1)2)については,研究成果を取りまとめて学術誌への論文投稿準備を行い,不足するデータについて補足的に現地で収集した.3)については,フィールドワークにより詳細な聞き取り調査を行い,過去の輸出業者や政府関係者はもとより,これまで調査が手薄であった生産者への集落悉皆調査を試みた.加えて,国内外の輸出産地において,輸出にあたり「産地」としていかなる対応が行われてきたのかを,過去のマーケティングボードの制度やその変遷,日本の一次産品の輸出協議会などの取り組みを文献整理や聞き取り調査を通じて把握した.ただし,トンガでの集落悉皆調査で,一部農家の調査が完了していない.来年度も補足的な調査を続けて,成果の取りまとめを行いたい.そのうえで,最終的に,トンガが国としてカボチャ輸出をめぐる国際的な産地間競争にどのように対峙したのかという問いに答えを導き出したい.またこれを通じて,南太平洋島嶼国家の農産物を通じた経済開発のあり方,一次産品を梃子とした経済発展の可能性と限界といった点も論じたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現地に長期滞在して,政府職員,政府系金融機関職員,輸出業者,生産者といった,産地を構成していた各主体に詳細なインタビューを行うことができた.また,ニュージーランドの大学に所蔵する資料などで,これまで入手していた政府資料の欠損を補うことができたほか,国内外での輸出産地の取組についても把握した.ただし,トンガの集落の悉皆調査を,顔つなぎ役の協力者の急逝により途中で中断せざるを得ず,産地を構成する各主体の対応を完全に跡づけるためには,追加的な調査が必要な状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し,本年度は昨年度十分にできなかった集落悉皆調査を完了させたい.また,研究を取りまとめ,論文を投稿する.
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Causes of Carryover |
トンガでの集落悉皆調査を予定しており,旅費,謝金等が発生する予定であったが,集落内の顔つなぎ役の協力者が急逝し,そうした調査を中断せざるを得なくなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補足的な現地での集落調査を行いたい.
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