2012 Fiscal Year Research-status Report
「文化的景観」における歴史地理学の貢献可能性についての検討
Project/Area Number |
24720380
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 歴史地理学 / 社会貢献 |
Research Abstract |
平成24年度は「文化的景観」概念の行政・社会への浸透度、および「文化的景観」と地理学(とりわけ歴史地理学)との関係についての理解度を調査することに重点を置いて研究を行った。内容としては、ヒアリング調査とアンケート調査が主となった。 現地でのヒアリング調査は、重要文化的景観選定地区のなかでも高い発信力で全国をけん引している長崎県平戸市、石川県金沢市で実施、また全国の自治体関係者が集まった研究集会の開催された熊本県天草市、滋賀県近江八幡市にも研究集会に合わせて訪問し、全国の自治体関係者からヒアリングを行った。 さらに、重要文化的景観の認知度を比較検証するため、これまでに重要文化的景観を目指す取り組みが一度もなされていない都道府県として沖縄県を選択し、沖縄県および南城市、うるま市、今帰仁村で「文化的景観」と地理学の関係に関するヒアリングを実施した。 アンケート調査は、交付申請時には重要文化的景観を目指している自治体の身に実施しようと考えていたが、それでは比較検証ができないことに思い至り、調査対象を広げ、全国で景観行政団体に移行している自治体(521団体)にアンケート調査を実施した。その結果、アンケートが全国396団体から回答を得ることができた。アンケート結果をもとにした分析は、平成25年度前期に実施する予定であり、まだ予察的な段階であるが、「文化的景観」については、行政レベルにもいまだ十分な周知は為されていないこと、さらに「文化的景観」と地理学(歴史地理学)との関係について、現地担当者レベルにおいて考慮されることが少ない現状にある結果が現れるように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒアリング調査については、ほぼ当初の予定通り実施できている。 アンケート調査については、当初の予定よりも調査対象を広げたために、その分、やや分析に時間がかかる結果となっているが、その点を考慮しても、おおむね順調に進展していると言える。 景観ないし文化的景観に関する概念整理については、書籍購入を行い、個々に検討は行っているが、それぞれの議論についてをまとめることまではできなかった。その点、やや遅れている、と判断せざるを得ない。ただし、その遅れは十分に回復可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題の最終年度となるので、研究成果を取りまとめられるよう、アンケート調査とヒアリング調査の分析を総合的に実施できるように取り組む。すでにヒアリング調査の不足している地域・人物についてはピックアップ済みであり、その調査予定もおおよそたてられている。 これまでの研究の整理については、夏休みなどのまとまった時間を利用して、進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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