2012 Fiscal Year Research-status Report
戦後都市化による河川敷の変容に関する社会・政治地理学的研究
Project/Area Number |
24720383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
本岡 拓哉 同志社大学, 人文科学研究所, 助教 (60514867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 河川敷 / 不法占拠 / 居住 / 都市 / 都市社会地理学 |
Research Abstract |
2012年度は特に戦後日本の河川敷空間をめぐる政治的状況を明らかにするために、東京の国立国会図書館や都立中央図書館を利用し、資料収集に当たった。また次年度以降に計画している、具体的な対象地域でのフィールドワークの準備を行なった。2012年度の個人的な業績としては、これまで取り組んできた戦後日本の「不法占拠」地区および在日コリアン集住地区に関する研究をまとめる形で、Nihal Perera, Wing-Shing Tang (eds) Transforming Asian Cities: Intellectual Impasse, Asianizing Space, and Emerging Trans-Localities.に所収される、「The Struggle for living space: Ethnicity, housing, and the politics of urban renewal in Japan’s squatter areas」や「戦後、消滅した在日朝鮮人の集住地区」(、『コリアンコミュニティ研究』3号)を執筆した。なお、本研究に関連して、2012年度「未来の京都創造研究事業」における「二条駅周辺の再開発とまちづくり~「立地創造の視点」から~」(代表:加藤政洋)のプロジェクトに関与し、報告書『二条駅周辺の再開発と〈まちづくり〉』(2013年3月、150部発行)の編集に携わった。このほか、神戸市長田をフィールドにする若手研究者とともに「共在の場を考える研究会」の運営にも携わり、『生存学vol.6』に共著論文「神戸長田の記憶風景を描きなおす」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題1年目は、おおむね順調に進展している。これまでの研究成果を踏まえながら、戦後日本の河川敷空間の政治敵状況について、主に資料調査を実施し、国政規模の対応についてはおおむね把握できている段階である。ただし、自年度以降の調査に関する準備は想定以上に進んでいるとは言い切れない。当初の予定では、それぞれの対象地域への調査を実施する計画であったが、それが一部に限られてしまった。そしてそれは、研究費を想定よりも少なく執行していることにも表れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、残された研究費を有効に活用し、研究計画を踏まえながら着実に調査を実施し、随時、論文投稿や関連学会での報告などを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては、前年度の研究成果を踏まえ、具体的に安倍川(静岡市)、紀ノ川(和歌山市)、重信川(松山市)、太田川(広島市)、白川(熊本市)の5河川の河川敷地区を研究対象に設定し、それぞれの地区の「生活・居住」の状況を新聞記事収集、行政文書、各種統計、住宅地図などの探索、そして関係者への聞き取り調査などを実施する中で、その空間変容の状況とともにいかに「生活・居住」の状況も変化したのか明らかにしていく。以上の研究計画を遂行するために、本年度は対象5地区へそれぞれ複数回にわたり現地調査を実施する。また、関連して東京都の国立国会図書館や国立公文書館への出張も行う。このほか、調査に関連する図書費や資料費、協力者への謝礼として研究費を使用する計画である。
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