2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後都市化による河川敷の変容に関する社会・政治地理学的研究
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24720383
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
本岡 拓哉 同志社大学, 人文科学研究所, 助教 (60514867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 河川敷 / 不法占拠 / 居住 / 都市 / 都市社会地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、戦後日本の河川敷空間をめぐる政治的・社会的状況を明らかにするために、資料調査やフィールドワーク調査を実施した。具体的には、国立国会図書館での資料調査、ならびに熊本市白川地区や神戸市長田区新湊川地区などでフィールドワーク調査を行った。神戸市長田区新湊川地区については、自身も運営に携わる「共在の場を考える研究会」との共同調査の中で、地域住民など関係者とのまち歩きを通じて、河川敷空間およびその周辺をめぐる多様な記憶を記録する活動を実施した。ここでの成果は、共在の場を考える研究会編『まちかどの記憶とその記録のために―神戸長田から/へ―』vol.2(2015年3月発刊)にまとめている。また、昨年度までの研究成果をまとめるかたちで、2014年度人文地理学会大会(於:広島大学)にて、広島・太田川放水路整備と河川敷居住―集団移転へ向けた住民の連帯・行政との交渉を焦点にして―」を報告した。さらに、大阪市大川沿いに存在した、在日済州島出身女性たちの「祈りの場」である龍王宮に関する映像集『龍王宮の記憶』を共同研究者とともに作成した。以上のような調査・研究を通じて、河川敷という空間・場所をめぐる政治性を浮き彫りにするとともに、そこでの人々の多様な営為を実証的に示すことで、これまでにはない戦後都市に対する見方を提示するきっかけになった。 このほか関連業績としては、『地理学評論』に「1950年代後半の東京における「不法占拠」地区の社会・空間的特性とその後の変容」を掲載しており、同志社大学人文科学研究所の第85回公開講演会の運営に携わり、「都市の自生的集落としてのバラック街」という講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究成果を踏まえながら、資料調査、フィールド調査を実施し、おおむね研究目的を達成しつつあるが、静岡県静岡市(安倍川河川敷)や神奈川県横浜市(鶴見川河川敷)での調査など、いくつかの調査が不十分であり、またこれまでの調査で得た資料や聞き取りデータのとりまとめの作業がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、次年度に繰り越し申請した研究費を有効に活用し、研究計画を踏まえながら精力的に研究・調査を実施し、随時、論文投稿や関連学会での報告などを実施する。2014年度中に残された課題についても着実に取り組んでいく。また、これまでの研究成果を何らかの形でまとめ、今後の研究に活かしていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究の対象地域である静岡県静岡市(安倍川河川敷)および神奈川県横浜市(鶴見川河川敷)における調査を予定通り実施できなかった。また、これまえの調査研究で得た資料や聞き取り結果の取りまとめ作業が不十分のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における未使用額の使途としては、静岡県静岡市および神奈川県横浜市の調査を2回ずつ(計4回)実行する予定である(25万円)。また、これまでの調査研究で得た資料や聞き取り結果のとりまとめ作業における謝金およびテープ起こし委託費として15万円を考えている。
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Research Products
(4 results)