2012 Fiscal Year Research-status Report
都市縮小時代における郊外居住と通勤流動に関する研究
Project/Area Number |
24720386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
稲垣 稜 奈良大学, 文学部, 准教授 (20378821)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 郊外 / 通勤流動 / 居住 |
Research Abstract |
本年度は、郊外地域の通勤流動と居住について、居住者レベルでの実態を明らかにしてきた。郊外居住者の通勤行動は、これまで大都市通勤者の増加、郊外間通勤の増加という点に焦点が当てられてきたが、郊外人口の頭打ちという現実をふまえ、まずは大都市通勤者が減少している事実を国勢調査によって明らかにした。特に、60歳前後の退職男性に相当する年齢階級において大都市通勤者の大幅な減少がみられるなど、コーホート規模の変化が通勤流動に大きく影響している点が明らかになった。 その後、大都市通勤者の減少のさらなる詳細を検討するために、奈良県生駒市および奈良市においてアンケート調査を実施し、郊外居住者の居住と通勤流動の時代的変化を明らかにした。 人口郊外化時代に郊外に居住地移動してきた人々が退職期を迎え、その動向が大都市通勤者の減少に結びついていること、住宅取得後も就業を継続する既婚女性の増加など、これまで考察が不十分であった部分の解明がなされた。本調査を通じて、本研究が明らかにしようとしている都市縮小時代の郊外の実態が明瞭になったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、郊外地域において国勢調査等の分析で得た知見をもとに、アンケート調査によってさらなる詳細を明らかにすることとしていた。当初の計画通り、郊外に位置する地域におけるアンケート調査を速やかに実施することができたため。また、国勢調査など統計資料の活用も予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に示したように、別の郊外地域を選択してさらなる調査を実施する予定である。本研究では、様々な地域間の比較を通じて、ある地域の特性を相対的に把握することに重点を置いているため、新たな研究対象地域の選定を速やかに行い、詳細な分析へとつなげていきたい。 対象地域の可能性としては、今年度取り上げた奈良県生駒市と奈良市が、大阪市の郊外地域としての性格が強い地域であったため、25年度は京都市や神戸市など、他の都市圏に属する地域を想定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな研究対象地域を選定するため、まずは国勢調査などの統計資料を利用して各地域の特性を把握する必要がある。そのため、非収録データの使用も含めた広範なデータの収集を行う。非収録データのコピー費用が新たな研究費用となる。それをふまえ、さらに詳細な分析を実施する。 また、国勢調査だけでなく、市町村レベルで公表されているデータ等も積極的に活用するため、対象地域への出張旅費が新たな研究費用となる。
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Research Products
(2 results)