2013 Fiscal Year Research-status Report
都市縮小時代における郊外居住と通勤流動に関する研究
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24720386
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
稲垣 稜 奈良大学, 文学部, 准教授 (20378821)
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Keywords | 郊外 / 大都市圏 / 居住 / 就業 |
Research Abstract |
本研究では、都市縮小時代における都市の変容を明らかにしてきた。今年度は、昨年度実施した、奈良県生駒市および奈良市における居住と就業に関するアンケート調査をまとめた。その成果を『地理学評論』誌に発表した。郊外地域の中でも、高度経済成長期に開発された住宅地と、最近開発された住宅地とでは、住民の属性、通勤行動などに大きな変化が見られた。以前は地方圏出身者によってつくられた郊外であったが、現代では郊外を出身地とする郊外第二世代の占める割合が高まっている。こうした新たな知見が得られたことが、アンケート調査の成果である。 郊外の変容は一様ではなく、地域的な多様性も存在する。そのため、他の郊外地域における変容の実態を、文献資料を基に明らかにした。昨年度実施したアンケートでは、主として一戸建て住宅地とマンションを対象としたが、その後の文献調査により、郊外の鉄道駅周辺の変容が大きいことも明らかになった。 また、都市縮小時代に関する文献を収集し、現代都市地域の構造変化に関する知見を得た。人口減少時代に入っているにもかかわらず、依然として人口成長時代のライフスタイルが維持されていること、その一方で、新たなライフスタイルの追求も徐々に見られるようになってきたことが明らかになった。 さらに、地方小規模都市にも着目し、人口減少に直面する小規模都市が、どのようにして居住問題に対応しているのかについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査を実施し、その成果を論文にまとめるということを意図していた。そのため、『地理学評論』誌に発表し、郊外の居住、就業の新たな展開を論じることができた点は一つの到達点である。今後は、大都市にも着目していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、都市縮小時代における通勤流動を、主として郊外の視点から検討してきた。一方で、都市縮小は大都市圏から見た場合、大都市にも影響を及ぼしている。郊外の変容には、都心の変容も大きく影響していると考えられる。その一つが、人口の都心回帰と呼ばれる現象である。今後は、大都市中心部に着目し、その居住、就業特性を明らかにしていく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、大都市を中心としたアンケート調査を実施することを計画していた。しかし、大都市の実態を把握するためには、郊外地域の居住、就業に関する問題点を今一度整理する必要性が生じた。そのため、次年度に改めて大都市における調査を実施することとした。 大都市における居住と就業の実態を解明するため、アンケート調査を実施する。対象地域として大阪市を計画している。2013年度の区外地域を対象に実施したのと同様、郵便局のタウンプラスを利用して調査票を郵送し、回収することとする。
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Research Products
(2 results)