2014 Fiscal Year Annual Research Report
都市縮小時代における郊外居住と通勤流動に関する研究
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24720386
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
稲垣 稜 奈良大学, 文学部, 准教授 (20378821)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地理学 / 都市地理学 / 郊外 / 都心 / 居住 / 通勤 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市縮小時代における大都市圏構造の変容について,昨年度までは郊外を中心に検討してきた.最終年度は,これまでの郊外において実施してきた研究を総括した上で,新たに大都市に目を向け,居住や就業の実態について検討した. 郊外での研究の結果,典型的な郊外住宅地における大都市への通勤者数の減少,郊外鉄道駅周辺における職住近接と大都市通勤の対称性などが明確になり,これらが現在の郊外における通勤流動を特徴付けていることが判明した. 一方,従来は就業地としての機能に特化してきた大都市が,近年の人口の都心回帰により,居住地としての性格も有するようになってきた.こうして都心回帰してきた居住者の通勤行動が,それ以外の居住者とどのように異なるかという点を明らかにすることで,郊外居住者の通勤行動を相対化することができる. 具体的には,大阪市都心部において統計データを分析した上で,居住と就業に関するアンケート調査を実施し,職住関係の変化を明らかにした.まず統計データの分析から,2000年代以降,都心区における人口増加が顕著にすすむ一方,周辺区の人口停滞が明瞭となった.続いてアンケート調査について,郊外とは異なり,居住者の属性が多様であることを踏まえ,居住形態ごとの就業状況に着目した.その結果,職住近接を中心としつつも,様々な職住関係の存在が浮き彫りになった. 都市の縮小がすすむ中,居住についてはこれまでにも検討がすすめられてきたが,本研究では,就業や通勤に着目することで,都市縮小の実態がより明確にできたと考える.
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Research Products
(3 results)