2012 Fiscal Year Research-status Report
身体と情動の経済:人体の医学的利用に関する経済人類学的研究
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24720390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 吾郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (20583991)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療人類学 / 先端医療 / 身体 / 情動 / 生経済 / 生政治 |
Research Abstract |
研究初年度となる平成24年度は、基本文献の検討のほか、民族誌的な調査を新たに開始するため、その準備を行った。予定通り病院においてフィールドワークを開始することができ、平成25度以降本格的に調査を継続実施する予定である。調査のなかでは、患者、家族、医療者のそれぞれの立場や視点によって身体の語り方が異なっていることに着目することが有意義であることを確認した。そうした語り方の齟齬が意思決定の場面でコンフリクトを生みだす契機となっており、その分析が今後の研究の中心的な課題となる。特に、正当性を担保するための行為や実践のプラグマティックな作法について理解を深める必要がある。 今年度の主な研究成果として、8月にドイツ・ビールフェルト大学での国際ワークショップに参加し研究発表を行ったほか、10月には南京師範大学で行われた国際記号学会で研究発表を行った。また、10月には日本生命倫理学会において「制度に埋め込まれた行為を考える―臓器移植の事例から」と題した報告を行い、このなかで人間の行為に対して制度が果たす再帰的な役割について検討した。これらの成果は、3月に「技術とともにある身体:技術的介入と制度に埋め込まれた行為」というタイトルの論文として出版したほか、英語論文は査読を経て現在印刷中である(East Asian Science, Technology and Societyより来年度中に掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り新たにフィールドワークを開始し、順調に基礎的なデータの収集を行っている。また、国内外での研究発表も予定どおり行い、本研究について他の研究者との意見交換の機会を作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査地となる病院でのフィールドワークを継続的に実施する。患者、家族、医療者への聞き取りが主な内容となり、データの収集と分析を行う。また、基礎的な文献の収集と分析をすすめる。研究成果の報告は、国内外の学会・研究会において折に触れて行い、そこで得た批判的なコメントを踏まえて研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査のための出張費として予算の大部分を使用することになる。基礎文献の収集は、初年度に一定程度行うことができたが、継続して基礎資料の収集(購入)を行う。その他、研究に必要となる事務用品・消耗品の購入に充てる。
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