• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

沖縄における墓地開発と宗教実践の相互作用に関する文化人類学的研究

Research Project

Project/Area Number 24720391
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionUniversity of Fukui

Principal Investigator

越智 郁乃  福井大学, 産学官連携本部, 機関研究員 (10624215)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords開発
Research Abstract

本研究では、重層的な権力構造の下で行われる現代沖縄の開発の中で墓地開発をとりあげ、墓をめぐる環境の変化と宗教実践の相互作用について考察する。具体的には、墓に用いられるモノの物質性が人々の宗教実践に及ぼす変化について明らかにすることで、人と墓が作用し合いネットワークを構築する過程や構造を明らかにする。これまでの社会学や家族史の観点から墓を取り上げた研究は、自然葬など墓のオルタナティブをもとめることに傾倒し、目の前にある宗教実践を通じた墓と人とのつながりについて看過されている。それに対し、開発やモノの変化というマクロな社会変化、個々の墓をめぐる宗教実践というミクロな様相を同時に捉えている点に本研究の特色がある。
平成24年度は「人とモノとのエージェンシー」に関する議論を、墓をめぐる人類学/民俗学的研究枠組みから検討した。特に申請者がこれまで調査を行ってきた沖縄では、墓に対する「お祝い」や年忌供養など、墓の「人格化」が認められる。また、墓の位置、 墓相を整えることで子孫が繁栄するという墓地風水は、墓の持つエージェンシーと呼べる。しかし、集団墓地において従来通り風水を用い、墓の年忌を行う難しい。そこで本研究では、 墓を構成するものとして、(1)空間(2)土地(3)墓石(4)祭具(5)遺骨という項目にそってこれまでの呪物や遺骨崇拝に関する研究を援用しながら、墓の持つエージェンシー研究に関する理論的視座の構築を目指した。上記を踏まえ、現地にて17日間の予備調査と資料収集行った。行政による墓地調査報告における墓の分類や対応の変遷に関する文献を収集し、聞き取りを行った。また、戦後の米軍による土地接収、軍用地使用、返還後の開発による墓地を含む土地利用の変遷に関する調査を行うなど、多角的な理論的考察の材料を収集した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度は「人とモノとのエージェンシー」に関する議論を、墓をめぐる人類学/民俗学的研究枠組みから検討するにあたって、年次前半は文献調査と研究会等を通じた理論構築に時間を費やした。特に申請者がこれまで調査を行ってきた沖縄では、墓に対する「お祝い」や年忌供養などの、墓の「人格化」や墓の位置、 墓相を整えることで子孫が繁栄するという墓地風水を通じて墓の持つエージェンシーについて議論することは、平成23年度後半の研究を通じて予備的な考察を行っていたため、当初の計画より早く進んだ。前半の考察を踏まえ、年次後半を中心に行った現地における資料収集と予備調査に関しては、墓地を含む土地の利用に関して、特に戦後の米軍による土地接収、軍用地使用、返還後の開発を経た墓地を含む土地利用の変遷に関する調査を行った。沖縄における重層的な権力構造を意識しながら、墓地を含む土地の開発に関してより広範な調査を行うことで、多角的な理論的考察の材料を収集することに努めたため、資料収集と分析に関して当初の予定より時間を要した。そのため、1年を通じて総合的にはおおむね順調に進展したと自己評価している。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は、以下の二点に着目し、沖縄県那覇市を中心とした都市部を中心に 約6週間の現地調査を行う。
(1)墓をめぐる環境の変化:物質文化と都市社会史的側面からの検討…第二次世界戦後、墓がいかに変化してきたか、墓に用いる材質の変化、行政や業者の関与による集合墓地の開発過程を中心に現地調査を行い、物質文化及び都市社会史的側面から現代沖縄の墓をめぐる環境の変化を再検討する。
(2)墓のエージェンシーに関する調査と考察…(1)で明らかにした墓の変容過程を背景として、現在都市部において造墓がどのようになされているのかを現地調査する(3週間)。墓地を経営する法人の協力を得ながら参与観察を行い、アンケート調査により数量的調査を行う。その過程で協力を得られた家族から詳細な聞き取り調査を行う(3週間)。
上述の調査結果を踏まえ、モノのエージェンシーに関する議論を墓における具体的な宗教実践の場面に敷衍することで、墓のエージェンシーという新たな研究の地平を探求する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上記の研究計画遂行のために、約6週間の現地調査及び現地資料収集を予定している。また、学会、研究会などを通じた情報収集及び意見交換を重ね、理論的視座の構築を行うために、資料収集および国内調査費を計上する必要がある。また、今年度はアンケート調査を実施するため、人件費、郵送費等を計上している。

  • Research Products

    (7 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 「沖縄米軍返還地における村落祭祀とコミュニティ再編」2013

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Journal Title

      『宗教研究』

      Volume: 第86巻第4輯 Pages: pp441-442

  • [Presentation] Conserving Our Lands: A Case of Managing Local Commons after the Reversion of Okinawa2013

    • Author(s)
      OCHI,Ikuno
    • Organizer
      The 14h Global Biennial Conference of the International Association for the Study of the Commons
    • Place of Presentation
      富士吉田市民会館
    • Year and Date
      20130603-20130607
  • [Presentation] 沖縄米軍返還地における村落祭祀とコミュニティ再編2012

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Organizer
      日本宗教学会 第71回学術大会第14部会
    • Place of Presentation
      皇學館大学
    • Year and Date
      20120907-20120909
  • [Presentation] 土地を「守る」こと-現代沖縄における米軍接収土地返還後の開発とエージェンシー-2012

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Organizer
      日本文化人類学会 第46回研究大会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      20120623-20120624
  • [Presentation] 「悲劇の地」から楽しみを生む土地へ:沖縄都市部の米軍返還地における共有地開発を事例に

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Organizer
      京都大学人文研共同研究班「トラウマ経験と記憶の組織化をめぐる領域横断的研究ー物語からモニュメントまでー」ミニシンポジウム「悲劇のコモンズ」
    • Place of Presentation
      京都大学人文科学研究所
    • Invited
  • [Book] 「『この世の家』と『あの世の家』-現代沖縄における家屋・墓・仏壇の移動 と「家」の継承をめぐって-」、小池誠・信田敏宏編『生をつなぐ家』2013

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Total Pages
      15
    • Publisher
      風響社
  • [Book] 「交錯するツーリズム-八重山台湾間の『観光』をめぐる『台湾』認識のあり方-」、上水流久彦・村上和弘・西村一之編、『海で〈つながる/切れる〉境域の人類学』2013

    • Author(s)
      越智 郁乃
    • Total Pages
      26
    • Publisher
      風響社

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi