2014 Fiscal Year Annual Research Report
スラム観光をめぐる人類学的研究―ラテンアメリカの現状から
Project/Area Number |
24720397
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50567295)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スラム観光 / ラテンアメリカ / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
観光とは、観光地となる場所やそこに暮らす人びとに利益と悪影響を表裏一体でもたらす現象である。本研究ではプロプアー(貧困にやさしい)という理念のもと、ここ数年でツアーとして商品化され、世界の複数都市において実施され始めた「スラム観光」についての人類学的調査研究である。スラム観光は貧困者の生活基盤確立に寄与するのか、倫理的な問題はいかに検討されクリアされるのか、利点と弊害を多角的な考察をおこなった。
具体的には、スラムそのものが観光資源(利益の源)になるという、これまで想定されなかった事態の現状把握について、初年度から継続してメキシコシティにおけるスラム観光のフィールドワークを行った。またサンチャゴ(チリ)において、スラム観光実施計画遂行段階にある現場(自治体および候補スラム地区)に参与して調査研究を進め、その成果論文は2015年9月に刊行される論集に収められている。
2013年度までは、1.プロプアーという思想(理念)の枠組みが現場においてどのように掲げられ、そのもとに実施されている事柄の妥当性と可能性あるいは修正すべき点があるとしたらどのあたりなのか、2.スラム観光についての倫理的問題を多方面から把握すること、この2点について検討してきた。最終年度では、チリにおけるスラム観光計画準備の現場に実際に参与することで先の2点について、具体的かつ経験的に考察を進めることができた。
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Research Products
(3 results)