2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代バングラデシュの「教育第一世代」による「青年期の創出」と社会変容
Project/Area Number |
24720400
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
南出 和余 桃山学院大学, 国際教養学部, 講師 (80456780)
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Keywords | 若者 / 教育第一世代 / 出稼ぎ / バングラデシュ / 教育経験 |
Research Abstract |
1980年代後半以降のバングラデシュの特に農村部における急速な教育普及は、現在の20歳代を境とした世代間に、教育経験における大きな差をもたらした。バングラデシュの現在の若者たちは、「教育第一世代」として、親世代の経験とは異なる「子ども期」「青年期」を過ごしている。本研究は、このバングラデシュの教育第一世代に見られる青年期の変容を、①個人の経験、②家族の生活戦略、③彼らの経験がもたらす農村社会の変容、という側面から検討することを目的とした。 2年目(最終年度)は、初年度の現地調査で収集したデータと、9月に行った追加現地調査の結果を踏まえて、国内外での学会発表および論文執筆を行った。現地調査では、初年度の農村部における聞き取り調査に加えて、首都ダッカ近郊に急増する衣料品縫製工場で働く若者たちを対象に、アンケート調査を実施した。労働者200人規模の比較的小さな工場と、1000人を超える工場の2か所において、出身や学歴、家庭環境と労働状況、故郷との往来、将来の展望などについて質問した。また、調査地農村から都市部に出稼ぎに来ている若者たちを可能な限り訪問し、都市での生活状況についても調査した。 2年間の現地調査を基に、7月にオーストラリア国立大学で開催された国際シンポジウム“South Asian Childhoods”と10月の日本南アジア学会(於・広島大学)で発表した。また、調査地農村から海外(ギリシャ)へ出稼ぎに出ている若者と送り出し家族を撮影した映像作品『シムルの夢と葛藤』を、6月の日本文化人類学会(於・慶應義塾大学)と日本南アジア学会(10月)、2014年1月にバングラデシュで開催された「第13回ダッカ国際映画祭」にて発表した。 学会で発表した内容を基に現在論文を執筆中である。また、「経済成長下における若者の都市移動」を考察するにあたっては、1960年代の日本の経験についても文献と聞き取り調査を実施し、論文を執筆した。
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