2014 Fiscal Year Research-status Report
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24720404
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Research Institution | The Niigata Prefectural Museum Of History |
Principal Investigator |
大楽 和正 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20526959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 伝統野菜 / 減反 / TPP / フォークロリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
減反・転作以前における、それぞれの在来品種作物の生産活動を明らかにし、その後の減反・転作にともなって伝統性を帯びた農作物が拡散していった状況を明らかにした。具体的には新潟市白根地区で減反・転作作物として栽培されている食用菊「かきのもと」と津南町の雪下にんじんについて調査を進めた。 「かきのもと」は、農家の庭先や畑の片隅に小規模栽培されていたものであるが、1970年代の減反政策以後、より花が大きく色鮮やかな紫色に品種改良し、栽培の規模拡大が図かられた。白根地区での生産量は県内産の約8割を占める。現在ではシェード栽培や電照菊によって出荷時期を調整し、ほぼ通年出荷できる体制をとっている。 また、食用菊を栽培する農家によって食用菊部会が組織され、部会内で栽培品種を株分けして品質の向上に努め、積極的なPR活動を行っていることも本調査によって確認することができた。 このほか津南町で栽培されている雪下にんじんについて調査を進めた。これは本来であれば秋に収穫するにんじんを雪の下で越冬させ、春先に雪を掘り起こして収穫するものである。近年、津南町及び十日町市において雪下にんじんを栽培する農家が増加しており、この地域の冬の特産として人気を集めている。これを有機無農薬栽培で販売する農家や、ジュースに加工して大規模経営を行う農家があり、それぞれの動向について調査を進めた。 さらに長岡市内では雪大根と称して、大根を越冬させて販売する動きが近年活発化していることを確認できた。こうした野菜も、雪国という風土のもと、どこか懐旧的な色彩を帯びながら商品化され、将来的に伝統野菜として認知されていく可能性をもっており、今後もそうした状況に注目して調査研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
伝統野菜の作付けに関するインタビュー調査などは順調に進んでいるものの、GISを活用した土地利用調査がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、減反・転作地に関する土地利用調査、インタビュー調査、新聞記事等の文献調査の成果を集約し、総合的に検討する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、GISを活用した土地利用調査を行い、その成果をもとに減反・転作地に伝統野菜が作付されていく状況を研究成果広報用パンフレットで発信する予定であったが、調査地の圃場整備事業等と重なり充分な土地利用調査が実施できなかったため、計画を変更してインタビュー調査を重点的に行うこととしたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
GISによる解析と関連する現地調査及び資料調査、研究成果広報用パンフレット作成を次年度行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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