2012 Fiscal Year Research-status Report
被害者遺族による意見陳述が裁判官の量刑判断に及ぼす影響
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24730002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐伯 昌彦 千葉大学, 法経学部, 准教授 (10547813)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 犯罪被害者 / 量刑 / 意見陳述制度 |
Research Abstract |
本研究では、実際の刑事事件の事件記録からデータを抽出し、被害者遺族による意見陳述の利用が量刑判断にどのような影響を及ぼしているのかを検討することを目的としている。具体的には2007年に確定した自動車運転に起因する過失致死事件のうち104件を対象として、所要のデータを抽出し、そのデータに一定の分析を加えることで、上記研究目的を達成しようとしている。 その研究目的を達成するために、本年度は、刑事事件記録から、必要なデータを入力する作業等に努めた。すなわち、104件の事件記録を入念に読み込み、一定のコーディング・ルールにしたがってデータを入力し、また必要な記録上の記述については、言語学的分析が可能となるようにデータ入力をした。 もっとも、このデータ入力作業は、現時点ではまだまだ不十分であり、彫琢の余地があるものである。具体的には、画一的な判断が難しく、評価に依存する部分を、どのように明確な指標によって分類するかが課題となる。現時点では、研究実施者の主観的な判断に依存した分類がなされている個所も残されており、それをより客観的な指標として操作的に定義することが、次年度の課題となる。 そのようなデータの不十分性はあるが、すでに、現時点でのデータを用いた予備報告も行い、それなりの知見を得つつあるところである。このように、膨大な記録からのデータ抽出作業、およびそれに基づく初期的な知見の報告などが、本年度の主たる研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、本年度は、データの入力作業を行うことが予定されていた。本年度はその予定通り、刑事事件記録を読み込み、必要なデータを入力する作業を行い、それに基づく予備的な報告まで行うことができた。以上の理由により、上記区分の達成度を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに予備的な報告を行ったが、その中で、必要なデータの操作的定義の在り方等について、彫琢すべきポイントが明らかとなってきた。今後は、そのような問題関心を踏まえて、データの彫琢作業を進め、それを踏まえた最終的なデータセットの完成、および、それを利用した分析結果のまとめが主要な課題となる。さらに、その作業を踏まえて、政策的な提言ができるように検討を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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