2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730005
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
鈴木 秀光 専修大学, 法学部, 准教授 (30361059)
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Keywords | 中国法制史 / 刑事裁判 / 財産犯 / 十九世紀 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度にあたる平成25年度は、前年度の研究を踏まえて、19世紀の前半にあたる嘉慶・道光期を中心として、皇帝や中央官庁の政策決定過程や省内の各上司の対応に関する史料の収集・分析を行った。また省内における裁判実務を規定するものとして当時の地方性法規たる省例を重点的に調査した。 上記作業を通じて確認できたこととして、一つには、犯罪発生から裁判を経て刑罰を科すに至るまでの多くの段階で、嘉慶・道光期には手続上の変化が多数生じていたことが挙げられる。その中には、先行研究で一定程度解明されているものもあれば、手続自体は知られているもののその由来等が十分明らかになっていなかったものも存在した。後者について、それらをこの時期における手続上の変化として位置づけられたことは、清代の裁判制度研究にとって意義あることであろう。 もう一つには、この時期における窃盗や強盗などの裁判の特徴として、分権化の傾向が存在したことが挙げられる。19世紀後半において、財制や軍事の面で地方の力量が増大する一方、中央の地方に対する統制力が低下して、全体として分権化傾向が進展したことは、中国史研究において指摘されていることである。裁判に関しても同様に19世紀に分権化傾向が認められること、またそれは財制や軍事などとは異なり19世紀前半から生じていたことが確認できたことは、法制史のみならず中国史の研究においても重要である。 なお秋以降は、必要に応じて史料の収集・分析をしつつ、研究成果をとりまとめる作業を行った。その一環として、平成25年11月30日に富山大学で開催された共同シンポジウム「近世中国の刑法と司法機構」において、「清代嘉慶・道光期における盗案の処罰について」という題目で、本研究の概要を報告した。また詳細については、近日論文として公表する予定である。
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Research Products
(2 results)